日本大百科全書(ニッポニカ) 「慈山」の意味・わかりやすい解説
慈山
じざん
(1637―1690)
江戸前期の僧。字(あざな)は妙立。美作(みまさか)国(岡山県)の生まれ。17歳で京都花山寺(かざんじ)の雷峰について出家。1668年(寛文8)泉涌寺(せんにゅうじ)で学び仏教典籍(てんせき)を読破し、大津の坂本において『瓔珞(ようらく)経』に基づき自ら誓って戒律を受け、天台宗の教学に傾倒した。天台宗は大乗戒によっていたから、小乗戒による慈山を排する動きがあったため、京都に移り住んだ。大原梶井門跡(かじいもんぜき)や聖護院(しょうごいん)門跡をはじめ、在家居士(こじ)らの尊崇を受け、天台教学を講じ、天台宗が小乗戒を兼学すべきことや、即心念仏を主唱した。元禄(げんろく)3年7月3日54歳で寂。門弟に霊空光謙(れいくうこうけん)がある。
[木内堯央 2017年8月21日]