国指定史跡ガイド 「慈照寺〈銀閣寺〉庭園」の解説
じしょうじ〈ぎんかくじ〉ていえん【慈照寺〈銀閣寺〉庭園】
京都府京都市左京区銀閣寺町にある庭園。東山文化を代表する臨済宗相国寺(しょうこくじ)派に属する禅寺の庭園。祖父である室町幕府3代将軍、足利義満の北山殿(きたやまどの)金閣(鹿苑寺(ろくおんじ))にならって、8代将軍足利義政が隠居生活のために1482年(文明14)、山荘東山殿(ひがしやまどの)の造営を開始した。造営した楼閣「観音殿」を銀閣といい、寺院全体が銀閣寺と通称されるようになった。慈照寺は足利義政の法号にちなんで命名されたもので、東山殿は東山文化の発信地ともいえる。庭園は、1339年(暦応2)に、夢窓疎石(むそうそせき)が作庭した西芳寺(さいほうじ)の庭園をモデルに造られた。平地には池泉回遊式庭園、裏山には枯山水庭園の上下2段で構成され、池泉回遊式庭園は錦鏡池(きんきょうち)と呼ばれる池を中心に、銀閣(観音殿)と東求堂(とうぐどう)(国宝)が配されている。なおこれらの庭園は、江戸時代初期の1615年(元和1)に改修されて景観が大きく変わった。慈照寺庭園を構成する要素の中で、もっとも目を引くのは白砂で造られた銀沙灘(ぎんしゃだん)と円錐(えんすい)台形の向月台(こうげつだい)で、中国・西湖(せいこ)の波打つ風景を描写した銀沙灘と富士山状に盛られた向月台は、月に照らされる光の反射を意識して造営されたといわれる。1925年(大正14)に国の名勝・史跡に指定され、1934年(昭和9)に追加指定を受け、1952年(昭和27)には国の特別名勝・特別史跡に指定された。1994年(平成6)には「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された。JR東海道新幹線ほか京都駅から市バス「銀閣寺前」下車、徒歩約5分。