慢性腎炎(読み)まんせいじんえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「慢性腎炎」の意味・わかりやすい解説

慢性腎炎
まんせいじんえん

腎機能不全の一つ。慢性腎炎の本体慢性糸球体腎炎であり、その組織腎生検で調べると、本態性高血圧症、膠原(こうげん)病、糖尿病などの全身性疾患由来の糸球体疾患がしばしば混入しており、臨床的にこれらを鑑別することは困難な場合が多い。したがって、明らかに慢性糸球体腎炎と診断できるもの以外を「慢性腎炎」と漠然と表現することが慣用的に行われている。旧厚生省の慢性腎炎調査研究班では、慢性腎機能不全も対象に含めたが、これは、慢性腎不全の原因疾患として慢性腎炎がもっとも多く、約80%を占めたことによる。

[加藤暎一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「慢性腎炎」の意味・わかりやすい解説

慢性腎炎
まんせいじんえん
chronic nephritis

急性腎炎から移行するほか,初めから慢性腎炎として発病するものをいう。ただ,長年にわたり病状が進行しないもの,完治してしまうものがあることがわかり,最近は一つの病気としてとらえるのではなく,症候群と考えるようになってきている。尿と血管系にまず特異な所見が現れ,尿量減少,比重増加のほか,蛋白,各種の円柱細胞,尿細管上皮細胞,赤血球,脂肪体が尿中に発見される。血管系の症状としては,血圧の上昇心不全などが認められる。続発性の萎縮腎に移行する例も多い。腎移植などの試みもあるが,特効的治療法は発見されておらず,対症療法が主である。

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世界大百科事典(旧版)内の慢性腎炎の言及

【腎炎】より

…(2)診断と治療 診断は症状と,腎機能検査(糸球体ろ過量の低下),血液検査(好酸球増加,赤沈の促進),血清学的検査(血清ASLO価上昇,補体価の低下),眼底検査などの検査結果によるが,典型的な症状がそろえば比較的容易である。しかし,成人や老人など典型的な症状がないときには,慢性腎炎の急性の悪化,急速進行性糸球体腎炎など類似の症状を示す他の疾患と区別しにくい。 治療としては,安静(とくに発症後1~2週間),食事療法(食塩とタンパク質の制限など),感染巣の再燃を防ぐための抗生物質の投与などを中心とした薬物療法が行われるが,これらはすべて対症療法であり,特別の治療法はない。…

※「慢性腎炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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