新撰 芸能人物事典 明治~平成 「成田三樹夫」の解説
成田 三樹夫
ナリタ ミキオ
- 職業
- 俳優
- 生年月日
- 昭和10年 1月31日
- 出生地
- 山形県 酒田市
- 学歴
- 山形大学英文科〔昭和34年〕中退,俳優座養成所(第12期生)〔昭和38年〕卒
- 経歴
- 5人兄弟の三男。早くから演劇に興味を持ち、酒田東高校在学中に文化祭でチェーホフ「煙草の害について」を一人芝居で演じ、好評を博した。昭和29年山形大学英文科に進むが、演劇研究会での活動に熱中し、34年同大を中退し上京、俳優座養成所に入所。出席日数不足のため1年留年し、38年同所の第12期生として卒業。同期に松山英太郎、中村敦夫、山本圭らがいた。同年大映と専属契約を結び、映画「高校三年生」で顔出ししたのを経て、39年「殺られる前に殺れ」で本格的に映画デビュー。端正な顔立ちとドスの聞いた低音の声、クールでニヒルな雰囲気をたたえる敵役として売り出し、40年「座頭市地獄旅」で主役・座頭市と敵対する浪人を演じてその地位を不動のものとした。以後、「ある殺し屋」や〈兵隊やくざ〉〈犬〉〈女賭博師〉シリーズなどに出演し、当時映画を大量生産していた大映を支えた。46年大映倒産によりフリー。48年の東映「仁義なき戦い・広島死闘篇」に出演後は、東映の実録ものに独得の持ち味を発揮。また、東映の大作時代劇路線が始まるとその常連となり、53年「柳生一族の陰謀」では公卿にして剣の使い手という烏丸文麿少将を好演した。一方で39年のTBS「狼のうた」以降、テレビにも積極的に出演し、「新・平家物語」「徳川家康」などのNHK大河ドラマに出演した他、54年「探偵物語」では主演の松田優作にからむ服部刑事役を演じ、評判となった。平成2年胃がんで亡くなり、映画では林海象監督「ZIPANG」が遺作となった。将棋は3段の実力で、自由律俳句もたしなみ、没後に遺句集「鯨の目」が編まれた。他の出演作に、映画「新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ」「影狩り」「宇宙からのメッセージ」「鬼竜院花子の生涯」「魔界転生」「海と毒薬」「悲しきヒットマン」、ドラマ「鞍馬天狗」「編笠十兵衛」「柳生一族の陰謀」などがある。
- 没年月日
- 平成2年 4月9日 (1990年)
- 伝記
- 甦る昭和脇役名画館あなたの想い出―Memories of You 鹿島 茂 著高平 哲郎 著(発行元 講談社晶文社 ’05’00発行)
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報