手振(読み)てぶり

精選版 日本国語大辞典 「手振」の意味・読み・例文・類語

て‐ぶり【手振】

〘名〙 (「てふり」とも)
① 手を振ること。手を動かす様子。手のしぐさ。手つき。
※六条修理大夫集(1123頃)「霞立つくらまの山のうず桜てふりをしてなをりぞわづらふ」
※鮫(1963)〈真継伸彦〉一「おれは手ぶりをまじえて語る鋳物師の顔を」
② つき従う者。ともびと。従者
※延喜式(927)六「祓物〈略〉車副十四人。手振十人」
蜻蛉(974頃)上「しもつかへ、てぶりなどがぐしいけば」
③ 手に何も持っていないこと。てぶら。からて。素手。手振棒。
日葡辞書(1603‐04)「Teburide(テブリデ) マイル
元手のないこと。無資本。無一文。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)三「商売に一精出し見んと、〈略〉手振(ブリ)でかかる事は、今の世の中に、取手の師匠か取揚婆々より外に銀(かね)に成物なし」
⑤ せり市などで、値段を呼びながら、手を振って客の注文を促すこと。また、その人。
立会場で会員または取引員の代理人として市場で手を振り売買取引をする者。
※金(1926)〈宮嶋資夫〉一「爛々と光る眼が場立の手振(テブリ)の上に隙間なく注がれてゐる」
⑦ 立会場で、手を振って売買取引の意思表示をすること。指の形で銘柄・値段・数量を表わす。〔現代大辞典(1922)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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