手継証文(読み)てつぎしょうもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「手継証文」の意味・わかりやすい解説

手継証文
てつぎしょうもん

手継券文(けんもん)、連券ともいう。土地所有(または占有)権の移転を証明するために作成された証文権利書類)を年代順に張り継いだ一連文書。平安中期から中世を通じてみられる。一つの土地をAからBに譲与すれば譲状(ゆずりじょう)、売却すれば売券(ばいけん)(沽券(こけん))が作成される。新しい権利者は前の権利者から、土地とともに土地に関する一連の文書を受け継ぎ、自分の権利が正当な権原を有するものであることの証明とする。一つの土地が分割されるときには、一方正文(しょうもん)、他方に案文(あんもん)(写(うつし))が渡され、また、関連文書は引き渡さなかったことを注記するなどの処置がなされる。わが国では土地所有権の存在証明が証文を第一としたことに由来するが、相当長期にわたって権利関係の推移、社会経済状態を考察する好史料である。

[羽下徳彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「手継証文」の意味・わかりやすい解説

手継証文
てつぎしょうもん

土地財産権の継承を証明する一連の証文をいう。律令の制では土地の売買は,官が公証する形式をとったから,売主が権利者であることは保証されていたが,平安時代に入り,この公証の制度がくずれるや,売主は自分が権利者であることを証明するために,当初の権利者 (たとえば開発領主) から順々にその権利が適法に伝来したことを示すこれまでの譲状,売券 (→沽券 ) などをまとめて買手または譲受人に与えることが行われた。これらが手継証文である。京都の東寺文書には平安時代の手継証文がある。

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