手重い（読み）テオモイ

デジタル大辞泉

て‐おも・い【手重い】

［形］［文］ておも・し［ク］
１ 容易でない。重大である。
「あれ程御医者が―・く云ったものが」〈漱石・こゝろ〉
２ 取り扱いが丁寧である。「―・く遇する」
３ 動作が鈍い。
「―・イ人」〈日葡〉
[類語]（1）由由しい・重大・深刻／（2）手厚い・丁寧・丁重・親切・親身・懇ねんごろ・慇懃いんぎん・折り目正しい

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

て‐おも・い【手重】

1. 〘 形容詞口語形活用 〙
   [ 文語形 ]ておも・し 〘 形容詞ク活用 〙
2. ① 手に持った感じが、重い。ずっしりした感じである。
   1. [初出の実例]「よい道具は手重(テオモ)くて」(出典：咄本・落噺顋懸鎖（1826）五)
3. ② 動作がにぶい。もたもたとして遅い。〔日葡辞書（1603‐04）〕
4. ③ 軽やかでない。重々しい。ものものしい。特に俳諧では、連句の付合が軽快でないことをいう。
   1. [初出の実例]「我こそ分知たりと、手おもきしょさだては、むっとしてあた胸のわるい重々也」(出典：浮世草子・好色貝合（1687）上)
5. ④ 容易でない。大変である。めんどうである。
   1. [初出の実例]「生がつを〈略〉いりざけで指身か。いやいや、そんな手おもい事いふてゐるうちに、魚がさがる」(出典：咄本・軽口笑布袋（1747）一)
   2. 「傷は〈略〉どれも手重(テオモ)いものではなかった」(出典：半七捕物帳（1923）〈岡本綺堂〉津の国屋)
6. ⑤ 取り扱いがていねいである。「ておもい馳走」
7. ⑥ 米相場が上がりそうで上がらないことをいう上方語。〔稲の穂（1842‐幕末頃）〕

出典　精選版 日本国語大辞典