打抜(読み)うちぬき

精選版 日本国語大辞典 「打抜」の意味・読み・例文・類語

うち‐ぬき【打抜】

〘名〙
① 打ち抜くこと。「六畳二間を打ち抜きにした広間
② 板金、厚紙などに型を当てて、その型どおりに穴をあけること。また、その道具。
※無関係な死(1961)〈安部公房〉「厚い真鍮板の打ち抜きでできていた」
③ 刃先のない突鑿(つきのみ)。〔和漢船用集(1766)〕
芝居大道具。物の形に輪郭を作った張物(はりもの)に絵を書き、立てて背景にしたり、扉、障子にする。
歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)四立「辻堂の扉打抜、左右の柱へ松の立木
⑤ 灸(きゅう)をすえるところ。〔両京俚言考(1868‐70頃)〕
⑥ (形動) みえを張らないで、ありのままなこと。正直なさま。
浮世草子・男色十寸鏡(1687)上「陰日南(かげひなた)なく打抜(ウチヌキ)実事(じつごと)はかくいてもかくれなし」

ぶっこ‐ぬ・く【打抜】

〘他カ五(四)〙
① 突きぬく。ぶちぬく。また、型などで打ち抜く。
※落語・素人茶道(1893)〈三代目春風亭柳枝〉「形へ入れて打(ブッ)こ抜こうと思ったが」
② 間をとばす。中間をぬく。また転じて、休演する。
人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)初「一日位ぶっこ抜いても宜う御座えやす」
③ いう。しゃべる。ぬかす。
※歌舞伎・桜姫東文章(1817)五幕「アレ、又大仰をぶっこ抜(ヌ)くワ」
④ 続けてする。
⑤ 追い抜く。追い越す。
※内輪外輪(1966)〈新橋遊吉〉「三日間のレースをぶっこ抜いて連勝する事も少くない」

ぶん‐ぬき【打抜】

〘名〙
茶碗などに入れた飯をさかさまにうつして盛ること。また、その飯。多くは、中間(ちゅうげん)などに出す盛り切り飯をいう。盛り切り飯。ぶんぬきめし。
※歌舞伎・暫(1714)「ぐッと一杯二合半、ぶん抜きくぎ抜き看板に」
② 転じて、中間。召使い
※歌舞伎・傾城金秤目(1792)二番目「そのぶんぬきが、なんの用でここへきた」

ぶん‐ぬ・く【打抜】

〘他カ四〙
評判記・吉原人たばね(1680頃)いこく「かすかなる山水も、あはれ、ちと岩まをぶんぬき、ふとくてたいきさし」
② 「言う」を卑しめていう語。ぬかす。もと、馬方の用いた語。
※洒落本・呼子鳥(1779)やました八景「とんだべいぶんぬく人だ」

ぶち‐ぬ・く【打抜】

〘他カ五(四)〙
① 勢いよく打ち込んで貫通させる。うって抜き通す。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
② 隔てを取り去ってひとつづきにする。ぶっこぬく。
※玄武朱雀(1898)〈泉鏡花〉八「鳶口で以て蔀を打抜(ブチヌ)きに来た」

ぶち‐ぬき【打抜】

〘名〙 隔てとなる壁、襖などを取り払って、ひとつづきの空間をつくること。また、そのようにしてできた場所。うちぬき。
※洒落本・田舎芝居(1787)二立目「今っからお仕廻のふち抜(ヌキ)迄たんだ百だア、安いもんだア」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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