打荷(読み)ウチニ

デジタル大辞泉 「打荷」の意味・読み・例文・類語

うち‐に【打(ち)荷】

船が難破しそうになったとき、船体の安全をはかるため積み荷の一部を海に投げ捨てること。また、その荷。荷打ち。投げ荷。捨て荷。ね荷。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打荷」の意味・読み・例文・類語

うち‐に【打荷】

  1. 〘 名詞 〙 船が風波に遭い難破のおそれがあるとき、積み荷の一部を海に投げ棄てて船体や他の荷物の安全をはかること。また、その捨てた荷物。捨て荷。刎(は)ね荷。荷打ち。投げ荷。浮き荷物。
    1. [初出の実例]「打荷或破船と偽、荷物を押領致候もの 船頭 獄門」(出典:徳川禁令考‐後集・第二・巻一八・寛保二年(1742))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「打荷」の意味・わかりやすい解説

打荷 (うちに)

船舶が航海中暴風雨に遭い,危険が迫ったとき,船頭が船および積荷の安全のため,積荷の一部を海中に捨てること。捨荷ともいう。これによる損失は,このため救われた船主および荷主が共同海損として分担した。15世紀後半からの慣行であるが,17世紀からは,打荷した船頭は,最寄りの港の浦役人に届け,海難を証する浦証文を受ける必要があった。これを怠ったときは,船頭は民事上,ときには刑事上の責任を負わされた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android