日本大百科全書(ニッポニカ) 「技能検定制度」の意味・わかりやすい解説
技能検定制度
ぎのうけんていせいど
労働者の技能水準を評価する国の検定制度。機械加工、鳶(とび)、婦人子供服製造、パン製造、ファイナンシャル・プランニングなど130職種の試験がある(2021年時点)。合格すれば「技能士」を名のることができる。実技試験と学科試験があり、職種によってどちらか一方や、製作等作業試験、判断等試験、計画立案等作業試験を行う職種もある。難度が高い順に特級、1級、2級、3級の4等級があり、区分がむずかしい調理などの職種は単一等級である。また外国人技能実習生向けに2級、3級、基礎級がある。特級は監督者・管理者向け、1級・単一等級は上級レベル、2級は中級、3級は初級、基礎級は基本的知識・技能を問うレベルとされる。実技・学科試験とも100点満点で、原則、実技試験は60点以上、学科試験は65点以上で合格となる。受検には実務経験が必要とされるが、職種、等級、学歴により、その期間は6か月未満から7年以上とさまざまである。標準受検料は実技1万8200円、学科3100円(2020年時点)だが、職種・等級・都道府県によって異なり、若者向け減額制度もある。
労働者の技能と地位向上を目的に、旧、職業訓練法(現、職業能力開発促進法、昭和44年法律第64号)に基づき1959年(昭和34)に創設された。職種は絶えず見直され、2018年度(平成30)にブライダルコーディネートやホテル・マネジメントが新設された。1993年(平成5)導入の外国人技能実習制度では、外国人の研修・技能検定機能を果たしている。厚生労働大臣が実施計画を定め、都道府県知事が検定を実施する。実際には中央職業能力開発協会が問題を作成し、都道府県職業能力開発協会が試験業務を担当する。ウェブデザイン、ピアノ調律など19職種は民間に業務委託している。特級、1級、単一等級の技能士は自分の商品に、厚労省認定のグッドスキルマークを表示して高付加価値をアピールできる。23歳以下の技能士は技能五輪全国大会や国際大会に出場可能。検定は年2回実施。2019年度(令和1)の志願者約87万人、合格者約36万人(合格率約42%)。累計合格者は約734万人。
[矢野 武 2021年4月16日]