日本企業の海外進出に伴い、1960年代後半から、日本企業は現地社員を日本で研修させる社員教育を始めた。これを原型として、政府は1981年(昭和56)、「出入国管理及び難民認定法」(昭和26年政令第319号、略称「入管法」「入管難民法」)を改正し、研修生を受け入れる在留資格を創設。1993年(平成5)には外国人技能実習制度を開始した。実習生の受け入れは、企業が直接受け入れる企業単独型と、商工会や協同組合などの監理団体を通じて受け入れる団体監理型がある。実習生には「技能実習(入国1年目は1号、入国2・3年目は2号、入国4・5年目は3号)」という在留資格が必要で、1号から2号、3号へと移行するには、技能評価試験に合格する必要がある。実習生を受け入れる日本企業や監理団体を監督する認可法人・外国人技能実習機構(OTIT:Organization for Technical Intern Training)があり、技能実習の実施には同機構への届け出・認定・許可が必要である。しかし研修生には転職・転籍が認められず、低賃金・長時間労働や暴行などの人権侵害行為も後を絶たない。国際連合は2014年以降、繰り返し人権侵害の疑いがあると懸念を表明し、政府は2010年(平成22)に法的保護や在留資格を見直し、2016年に外国人技能実習法を制定し、2017年にはOTITを設置したが、制度悪用に歯止めがかかっていない。2022年(令和4)末時点で全国の実習生は約32万5000人で、2018年と2022年には年間約9000人が失踪している。