外国人技能実習制度(読み)がいこくじんぎのうじっしゅうせいど

知恵蔵の解説

外国人技能実習制度

開発途上国の人材育成に協力することを名目に、外国人材の受け入れを可能にしている制度。入管法(出入国管理及び難民認定法)の改定により、1993年に新設された。それまで就労可能な外国人の在留資格は、原則として経営者や研究者、技術者など高度な専門職に限られてきたが、制度新設で企業・公的機関の研修生として来日した外国人も、研修終了後の一定期間、技能実習という名目で就労が認められることになった。受け入れ方式には、日本企業が海外現地法人などを通して受け入れ、技能実習を施す「企業単独型」と事業協同組合や商工会などの非営利団体が受け入れ、関連企業が技能実習を施す「団体管理型」があるが、技能実習生の約96%が「団体管理型」である(2016年末)。
その後、制度の拡充が図られてきたが、実態としては工場・建設や農業の現場で、単純労働に携わる者が大半で、更に低賃金による長時間労働・人権侵害による研修生の失跡や死亡事故も明らかになり、海外からは「奴隷制度」などという批判の声も上がった。一方、国内の産業界からは人手不足解消を求める声が強く、「働き方改革」を進める安倍内閣は2018年11月、新在留資格(特定技能)を設けた改正入管法案を臨時国会に提出した。外国人労働者の受け入れ拡大を目指したものだが、従来の実習制度をベースに新たな枠組みだけを定めただけで、野党からは「中身のないスカスカ法案」という反対・疑問の声が上がった。しかし政府は「詳細は省令で示す」と繰り返すのみで、社会保障などの課題に対する議論も深まらないまま、翌12月に成立した。これによって、単純労働の受け入れを事実上認めることになったが、政府は「移民政策への転換ではない」と従来の姿勢を崩していない。
成立した改正入管法は、在留資格を一定の技能を持つ「特定技能1号」と高度な熟練者の「特定技能2号」に区分している。「特定技能1号」は、5年間の技能実習の修了者や日本語能力試験の合格者などに与えられる。在留期間は最長5年で、家族帯同は認められない。熟練者に付与される「特定技能2号」は、長期在住(事実上の永住権)や家族帯同も認められる。対象として検討されているのは14業種(介護業、ビルクリーニング業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業)で、政府は今後5年間で最大34万5150人の受け入れを見込んでいる。また、新たに出入国在留管理庁(仮称)を19年4月に発足させる予定。これまで入国管理局が担っていた入管業務に加え、外国人受け入れの環境整備、在留者の生活支援なども担うことになる。

(大迫秀樹 フリー編集者/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

外国人技能実習制度

1993年に開発途上国への国際貢献を目的に始まった。製造業や建設業、食品製造業、介護など77の職種が対象で農業は2000年に加わった。企業が単独で受け入れるほか、非営利の監理団体が実習先の紹介や実習状況の監査もする。昨年11月に新法が施行され、優良な監理団体が受け入れる実習生は、実習期間が最長3年から5年に延びた。昨年末現在で全国に約27万人が在留する。法務省入国管理局によると、昨年は全国で7089人が失踪し、年々増加傾向にある。最多はベトナム人の3751人で半数以上を占めた。

(2018-12-14 朝日新聞 朝刊 大分全県・1地方)

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