大学の研究者の研究成果について特許等の形で権利化し,その技術の利用や応用による事業化を目指す民間企業等と譲渡やライセンス(実施権許諾)契約を結び,技術移転を促進する機関。1999年(平成11)に施行された「大学等技術移転促進法」により設けられた。TLOが技術移転により得た収益は,大学や研究者に還流され,大学の自主財源となる。文部科学大臣と経済産業大臣の承認を受けたTLOは,特許料の減免等の優遇措置を受けることができるようになった。TLO設置形態は,大学内の内部組織と,大学と法人格を異にする民間事業者に大別される。後者では複数の大学の技術移転を担うもの(広域型)が多くなっている。国立大学の法人化(2004年)後は,特許等の知的財産権は原則として機関帰属となり,大学自身がTLOと同等の機能を持つことができるようになった。このためTLOを仲介役とする技術移転は,その必要性が必ずしもなくなり,TLOの大学法人への吸収,統合,廃止等が進んだ(一部は存続)。
著者: 榎孝浩
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
「TLO」のページをご覧ください。
(金子元久 東京大学教授 / 2007年)
(高橋真理子 朝日新聞記者 / 2008年)
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