フランスのモンテスキューが《法の精神》のなかで説いた権力分立論のキーワードで,立法権・執行権・司法権の三権をそれぞれ別々の機関に分立させるとともに権力機関が厳格にその権限領域を守り(権力の分離),権力によって権力を抑制(権力の均衡)させるべきだとする考え。チェックス・アンド・バランスセスChecks and Balancesの訳語で,抑制均衡ともいう。それによって権力の専制化を防ぎ,国民の自由・権利を守ることができる,とする。モンテスキューのこの考えは,名誉革命後の英国の政治体制から学んだもので,当時のフランスにおけるアンシャン・レジーム下の専制政治に対する強烈な批判を含んでいた。また,アメリカ独立宣言に大きな影響を与えたといわれ,彼の考えは米国の大統領制のなかに具現されているといえる。