投資紛争解決国際センター(読み)とうしふんそうかいけつこくさいせんたー(英語表記)International Center for Settlement of Investment Disputes

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

投資紛争解決国際センター
とうしふんそうかいけつこくさいせんたー
International Center for Settlement of Investment Disputes

多数の国家からなる国際組織であり、世界銀行グループの一つ。略称ICSID。1965年3月18日にワシントンで世界銀行理事会により起草され、1966年10月14日(日本は1967年9月16日)に発効した「国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約」(「投資紛争解決条約」または「ICSID条約」とよばれる)により設立された。加盟国は165か国で、センター所在地は世界銀行の主たる事務所とされ、ワシントンにある(2022年10月時点)。

 同センターの目的は、締約国と他の締約国の国民との間の投資紛争を解決する調停仲裁のための施設を提供することである。つまり、同センター自身が調停や仲裁を行うのではなく、手続上の便益を提供する。同センターは理事会および事務局からなり、理事会は各締約国の代表者から構成される。理事会議長は、世界銀行の総裁である。事務局は1名の事務局長、1名かそれ以上の事務局次長および職員からなり、事務局長と事務局次長の任期はそれぞれ最長6年である(再選可)。同センターには、調停人名簿仲裁人名簿が常備される。各名簿に記載するために各締約国がそれぞれ4名を、理事会議長が国籍の異なる10名を指名することができる。同センターの管轄は、締約国と他の締約国国民との間で投資から直接生じる法律上の紛争で、両当事者がセンターへの付託について書面で同意したものに及ぶ。

[黒神直純 2022年12月12日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

投資紛争解決国際センター
とうしふんそうかいけつこくさいセンター
International Centre for Settlement of Investment Disputes; ICSID

投資受け入れ国と外国投資機関との間の紛争を調停,あるいは仲裁によって解決することを任務とする国際機関。国際投資紛争解決センターともいう。世界銀行グループ(→世界銀行)の構成機関の一つ。1966年,「国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約」(投資紛争解決条約)に基づいて設立された。みずからは調停や仲裁の決定を行なわず,事案ごとに調停委員会あるいは仲裁裁判所を組織することで,中立的な手続きを提供する。調停人と仲裁人の名簿が常備され,紛争当事者の利用に供されている。設立当初は紛争が付託されることは少なかったが,しだいに付託件数が増加している。2018年現在の加盟国は 154。

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