国際復興開発銀行International Bank for Reconstruction and Development(IBRD)の通称。世銀と略す。本部ワシントン。世界銀行は1944年7月アメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズにおいてIMF(国際通貨基金)とともに設立が決定され,その協定(ブレトン・ウッズ協定)は45年12月に発効,46年6月25日に業務を開始した。調印国のうちソ連を除くすべての国が最終的には加盟したが,キューバ,チェコスロバキア,ポーランドは後日脱退した。世界銀行のおもな資金源はヨーロッパ,日本,アメリカ,中東の各資本市場からの中期および長期の借入れによる調達であるが,これ以外にも払込資本,留保利益および貸付金回収から生ずる資金もある。貸付けの対象は受入国にとって実質経済収益率が高いと見込まれるプロジェクトに限定され,政府または政府保証のある民間企業にのみ融資される。貸付期間は一般に15~20年,据置期間は3~5年,貸出金利は世界銀行が支払う借入金の金利に応じて変動する。1946年発足時は授権資本は100億ドルであったが,2005年には1897億ドルに増額されている。加盟国数は2005年末現在184ヵ国。各加盟国の任命する総務で構成される総務会が最高意思決定機関であるが,総務会は通常年1回開催されるだけで,大部分の業務は本部ワシントンに常駐する24人からなる理事会に委託される(理事会議長が総裁)。投票権は基本票250票のほかに相対的な経済力を基準とした出資額に応じ配分されている。日本は敗戦国であったため発足当時は加盟できず,1952年8月に西ドイツとともに加盟した。53年から66年までに日本は電力,鉄鋼,道路,鉄道等累計8億6300万ドルの借款をしたが,この後はもっぱら資本供与国となった。84年に行われた特別増資の結果,日本は第5位からアメリカに次ぐ第2位の出資国となった。
国際開発協会
世界銀行の融資はその資金源の性格からいって商業ベースに乗ることが求められ,最貧国にとってはその借入れ・返済が困難であるため,1960年12月,国際開発協会International Development Association(IDA,通称第二世界銀行)が創立された。IDAは法律上も財政上も世界銀行とは別個の存在であるが同一の職員によって運営される。その融資対象は政府に限り,融資条件は,返済期間35~40年,据置期間10年,無利子(ただし融資未実行分については年0.5%,融資実行済分については年0.75%の手数料が課せられる)などとなっている。資金はその融資の性格からいって,全加盟国からの応募出資金,主として富裕な加盟国(Ⅰ部加盟国という)からの拠出金,世界銀行の純益からの移転分といったような返済の必要のないものに頼っている。資本総額は1189億ドル(2003年6月)で,日本は第1位の出資国。
国際復興開発銀行International Bank for Reconstruction and Development(略称IBRD)の通称。世銀とも。戦災国の経済復興や発展途上国開発を進める国際機構。国連専門機関の一つ。国際通貨基金(IMF)とともに,ブレトン・ウッズ協定に基づき1945年設立。当初は戦災国の復興を目的としていた。現在では発展途上国のための融資が主な業務であり,民間から融資を受けられない国家や機関に,市場で借り入れた資金を市場条件で貸し付けたり,民間からの融資の保証を行う。国家ばかりでなく,例外的に個人的企業も契約の対象とする。最高機関は総務会で全加盟国で構成され,理事会は五大出資国代表を含む22人からなり執行的権能をもつ。各加盟国は出資額に応じた表決権をもつ。近年では工業部門を中心に,教育・農業部門,市場経済への移行支援の融資等に重点をおくとともに,投資の保証や技術援助(開発計画の策定,人材派遣,技術者の養成等)などのサービス業務を拡大している。2012年現在世銀グループ加盟国188。グローバル化にともなう世界的な貧富格差の拡大と,2008年の世界同時不況にともなう資金不足に直面している。なお,世銀とともに,国際開発協会(第二世銀),国際金融公社(第三世銀)の金融機関と,国際投資紛争調停機関,多国間投資保証機関の付属機関をまとめて世界銀行グループという。本部はワシントン。日本は1952年加盟。 →関連項目インパクト・ローン|華人経済圏|借款|ブレイディ構想|ブレトン・ウッズ体制
主に発展途上国の政府や民間企業に対して融資を行う公的な国際金融機関で、国際復興開発銀行(IBRD : International Bank for Reconstruction and Development、1945年設立、185カ国加盟)、国際金融公社(IFC : International Finance Corporation、56年設立、179カ国加盟)、及び国際開発協会(IDA : International Development Association、60年設立、166カ国加盟)の総称。これに国際投資紛争調停機関(ICSID : International Centre for Settlement of Investment Disputes、66年設立、144カ国加盟)と多国間投資保証機関(MIGA:Multilateral Investment Guarantee Agency、88年設立、171カ国加盟)を加えて世界銀行グループと呼ぶ(加盟国数は2007年8月末現在)。IBRDは、比較的所得水準の高い発展途上国の政府に市場金利で、IDAは、後発発展途上国(LDC)の政府に無利子で長期間の融資を行う。IDAから融資を受けられる適格国は、アフリカ諸国を中心とする81カ国(07年8月末現在)。IFCは、発展途上国の民間企業に政府の保証なしで市場金利で融資を行う。ICSIDは、外国投資家と債務国との間の紛争を調停し、MIGAは、非商業的リスクによって生じた投資家の損失を補償する。ICSIDを除く4機関の理事会(いずれも24カ国で構成)における融資先などの決定は、加盟国の拠出金額に応じた投票権の行使によって行われるが、米国が最大の投票権保持国で、各々13〜24%、次いで日本が4〜10%を保有している(07年7月末現在)。