挿頭の花(読み)かざしのはな

精選版 日本国語大辞典 「挿頭の花」の意味・読み・例文・類語

かざし【挿頭】 の 花(はな)

  1. 髪や冠にさす花や草葉。
    1. [初出の実例]「涙の露の玉鬘(たまかずら)挿頭の花もしをしをと」(出典謡曲羽衣(1540頃))
  2. 冠にさす造花。多くは糸花(いとばな)で、ときに金属で造る。藤、桜、紅梅、菊などの種類があり、どれを用いるかは、儀式官位などによって一定していた。
    1. [初出の実例]「賀茂の臨時の祭、空の曇り寒げなるに、雪少しうち散りて、かざしの花、青摺などにかかりたるえもいはずをかし」(出典:枕草子(10C終)二二〇)
  3. 大切にしている子供。最愛の子。掌中(しょうちゅう)の珠(たま)
    1. [初出の実例]「たまたまあひ生す一子なれば、かざしの花たなごころの玉」(出典:謡曲・丹後物狂(1430頃))

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「挿頭の花」の意味・わかりやすい解説

挿頭の花
かざしのはな

挿頭 (うず) ともいう。頭飾り一種。平安時代以降,神事饗宴の際に冠や頭髪に挿した花枝や造花のこと。のちのかんざし起源をなす。造花は紙や糸,あるいは金属類でつくった。官位や儀式によって花の種類が異なる。熊野速玉神社に室町時代の糸花作りの遺品がある。

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