社会福祉施設の一種。身体上、精神上の理由または世帯の事情により就業能力の限られている者に対して、就労または技能修得のため必要な機会や便宜を与え、自立と生活安定を図ることを目的とする。大正期から社会事業として運営され、第二次世界大戦後も社会福祉事業の一環として位置づけられている。戦後の授産施設には、生活保護法(昭和25年法律第144号)による保護授産施設、社会福祉事業法(昭和26年法律第45号、2000年に改正して社会福祉法と名称変更)による社会事業授産施設、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)による身体障害者授産施設、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号、1999年に精神薄弱者福祉法から名称変更)による知的障害者授産施設、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号、成立時は精神衛生法、1987年に精神保健法、1995年に現在の名称で通称は精神保健福祉法)による精神障害者通所授産施設、がある。授産事業は施設に通う通所施設授産が一般的であるが、育児や病人の看護などの事情で毎日施設に通うことが困難な人々のため、家庭においても簡単な作業ができるように家庭授産も行われている。2006年(平成18)の障害者自立支援法(平成17年法律第123号)の施行によって、障害種別の授産施設の多くは就労移行支援事業所と就労継続支援事業所(A型、B型)などへ移行した。現在、障害、外国籍、生活困窮など、さまざまな理由で就労に困難のある者への就労支援策が模索されるなかで、授産施設のあり方が見直されている。
[岩永理恵 2016年7月19日]
『厚生省社会局生活課監修『授産施設関係法令通知集』(1992・中央法規出版)』
…授産事業を行う社会福祉施設で,関係法上は授産施設と呼ばれる。授産事業は,身体・精神上の理由や世帯の事情により就業能力に制約のある要保護者に対して,就労や技能修得に必要な便宜を与えて,その経済的自立と安定を援助する社会福祉事業である。…
…また上記の扶助の基準額は厚生大臣が定め,毎年告示されるが,特別の事由がある場合には個別に特別基準が設定される(生活保護基準)。 保護の方法は,居宅で行うことが原則であるが,保護の目的が達せられないときは救護施設(独立して日常生活ができない者を収容),更生施設(養護および補導を要する者を収容)において保護するほか,保護施設として医療保護施設(医療給付を行う施設),授産施設(就労または技能修得施設),宿所提供施設(住居のない者に対する施設)が設置されている。
[実施機関]
本制度の最終責任は厚生大臣にあるが,実施は都道府県知事,市長および福祉事務所を設置する町村長がそれぞれの所管区域内の居住者(居住地がないか不明の者は現在地による)の保護を行うものとされ,実際には福祉事務所が第一線機関としてこの業務を行っている。…
※「授産施設」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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