(読み)リャク

  • かす・む
  • かす・める
  • かそ・う かそふ
  • りょう
  • 漢字項目

精選版 日本国語大辞典の解説

(「霞(かす)む」と同語源)
[1] 〘他マ四〙
① 盗む。奪い取る。かそう。
※書紀(720)継体七年六月(前田本訓)「伴跛(はへ)の国、臣が国の已汶(いもん)の地を略(カスミ)(は)ふ」
② 人目をくらます。あざむく。かそう。
※虎明本狂言・ぬらぬら(室町末‐近世初)「かすんで竹生嶋へまいってござる」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒かすめる(掠)
〘他マ下一〙 かす・む 〘他マ下二〙
① 盗む。奪い取る。他人の物を取って我が物にする。
※書紀(720)天智元年三月(北野本訓)「是に由りて唐人、其の南の堺を略(カスムル)こと得ず」
② 人の見ていないすきに取る。
※半チョッパリ(1971)〈李恢成〉五「生協や本屋からかすめてきた書籍の」
③ はっきり見えなくする。ぼかす。また、人の見ていないところで事をする。ごまかす。
※太平記(14C後)一〇「黒煙天を掠(カスメ)たり」
※人情本・閑情末摘花(1839‐41)初「人の目を掠(カス)めたり」
④ ほのめかす。におわす。あてこすりをする。諷(ふう)する。
※枕(10C終)三六「『うとくおぼいたる事』などうちかすめ、恨みなどするに」
⑤ (①の動作が、速く行なわれるところから、鳥などの水に触れて飛び去るさまをいい、さらに転じて) 今にも触れそうにして通り過ぎる。すれすれに通る。かする。
※篁物語(12C後か)「魂は身をもかすめずほのかにて君まじりなば何にかはせむ」
⑥ 意識の上に瞬間的に浮かんですぐ消える。
※闘牛(1949)〈井上靖〉「彼の頭を掠(カス)めた疑問が」
⑦ 人に迷惑をかける。
※新編常陸国誌(1818‐30頃か)方言「かすめる 鹿島辺にて、人を迷惑さするを云ふ」
〘他ハ四〙
① 盗む。奪い取る。掠(かす)める。
※続日本紀‐天平宝字元年(757)七月一二日・宣命「天つ日嗣高御座(たかみくら)の次(つぎて)を加蘇毗(カソヒ)奪ひ盗まむとして」
② 人目をくらます。欺く。掠める。
※狂言記・二千石(1660)「おひまと申したりとも下されまいと存じ、かそうで京うち参りを致してござる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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