探湯（読み）クカタチ

デジタル大辞泉

くか‐たち【探^＝湯／誓^＝湯／盟^＝神^＝探^＝湯】

《「くがたち」「くかだち」とも》古代の裁判における真偽判定法。正邪を判断する場合、神に誓って熱湯の中に手を入れさせ、正の手はただれないが、邪の手はただれるとした。くか。

たん‐とう〔‐タウ〕【探湯】

「くかたち（探湯）」の音読み。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

くか‐たち【探湯・誓湯】

1. 〘 名詞 〙 ( 「くがたち」とも )
2. ① 大化前代、事の是非、正邪を判定するために、神に誓って熱湯に手を入れて探らせたこと。罪のある者は大やけどをするが、正しい者はやけどをしないと信じられていた。うけいゆ。
   1. [初出の実例]「盟神探湯、此をば区訶陀智(クカタチ)と云ふ」(出典：日本書紀（720）允恭四年九月)
3. ② 後世、神前で身を清めて拝するために沸かす湯。
   1. [初出の実例]「ここに改めん事を神に問ふて、探湯を奉り、神楽を奏すれども」(出典：随筆・胆大小心録（1808）三一)

探湯の補助注記

「書紀‐応神九年四月」に武内宿禰と甘美内宿禰とが磯城川のほとりで探湯をして無実を争った記事があるが、訓は不明である。「古事記」では「くかべ」は現われるが、「くかたち」の語は現われない。→探湯瓫(くかべ)

たん‐とう‥タウ【探湯】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 熱湯の中に手を入れてさぐること。
3. ② 「くかたち（探湯）」の音読み。
   1. [初出の実例]「応神帝の御宇、武内の宿禰が甘美内(あまみうち)と探湯(タントウ)したり」(出典：評判記・色道大鏡（1678）六)
4. ③ 暑さに苦しむことのたとえ。〔列子‐湯問〕
5. ④ おそれて手を出さないことのたとえ。〔論語‐季氏〕

くか【探湯】

1. 〘 名詞 〙 「くかたち（探湯）」の略。
   1. [初出の実例]「玖訶(クカ)瓮」(出典：古事記（712）下)

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【探湯】たんとう（たう）

熱湯に手を入れる。深く戒め懼れる。晋・傅玄〔班氏の詩に和す〕詩　秋胡、此の（道で戯れた採桑の婦）を見て　然(てきぜん)探湯を懷ふ

字通「探」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」