日本大百科全書(ニッポニカ) 「擲弾銃」の意味・わかりやすい解説
擲弾銃
てきだんじゅう
grenade launcher
擲弾発射機ともいう。第一次世界大戦中、手榴弾(しゅりゅうだん)または発煙、催涙ガス剤などを充填(じゅうてん)した擲弾を人力手投げより遠方に投擲する手段として出現した。当初は小銃の銃口部に専用の発射機を取り付けたものであったが、ベトナム戦争中にアメリカ陸軍が開発した40ミリM79グレネードランチャーは、軽量小型の中折れ式単発銃で、使用する榴弾は、アルミの外殻の中に数フィートの鋸歯(きょし)状に切り込みの入ったワイヤーを巻き込んだ球があり、内部に炸薬(さくやく)が詰められている。弾頭は着地すると地表からバウンドして約1.5メートルの高さで炸裂する。ワイヤーの球体は約300個の破片となって高速飛散し、10メートル範囲の人員を殺傷する。最大射程は400メートル。暴徒鎮圧用の催涙ガス銃も一種の擲弾銃である。
[小橋良夫]