日本大百科全書(ニッポニカ) 「催涙ガス」の意味・わかりやすい解説 催涙ガスさいるいがすtear gas 毒ガスの一種で、黄褐色固体のクロロアセトフェノン(CN)や白色結晶固体のクロロベンジデリンマロノニトリル(CS)などの化学物質がそのおもなもの。これらの物質を散布すると、人間の涙腺(るいせん)や嗅覚(きゅうかく)細胞に微量に触れるだけで、人間の行動に障害を生じる。しかし高濃度でなければ致死作用に及ばないので、非致死性化学兵器であるとの理由で、化学戦に使用したり、大衆行動鎮圧のために治安当局が手榴(しゅりゅう)弾や放水車によって散布使用することもある。[和気 朗] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「催涙ガス」の意味・わかりやすい解説 催涙ガスさいるいガスtear gas 毒ガスの一種。涙腺を刺激して一時的に視界を奪い,行動を不能にする。クロロアセトフェノン CN系とオルトクロロベンツァルマロノニトリル CS系の2種類が多く使用される。嘔吐剤 (DMガス) とともに,攪乱剤あるいは無能力化剤と呼ばれ,致死剤 (Gガス) などとは区別されて,窒息性ガス,毒性ガスまたはこれに属するガスの使用を禁止したジュネーブ議定書 (1925) の適用は受けないと考えられている。軍では地下壕にひそむ敵を引出す際などに使用する。暴徒の鎮圧などに警察でも使用。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報