物体に当たって吸収または反射される電磁波が物体の面に及ぼす圧力。とくに電磁波として光を考える場合には光圧とよばれる。音響学の分野では、音波に拡張して、音波の示す圧力に対しても同じ用語を使用する。放射圧は、初めイギリスのマクスウェルが理論的に予言、1903年ロシアのP・N・レーベデフが実験的に確認した。電磁波は干渉、回折など波としての性質を示すが、その反面、粒子としてもふるまう。この粒子は光子とよばれ、振動数νの電磁波では、hνのエネルギー、大きさhν/cの運動量をもつ(hはプランク定数、cは光速)。また、運動量の方向は波の進行方向と一致する。このため、光子が壁に吸収あるいは反射されると運動量変化が生じ、壁に力を及ぼすことになる。これが放射圧の原因である。彗星(すいせい)の尾は、太陽と頭とを結ぶ直線上、太陽から遠ざかる方向を向く。この現象は太陽光の放射圧のためである。
[阿部龍蔵]
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