コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

救命救急センター きゅうめいきゅうきゅうセンター

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

救命救急センター
きゅうめいきゅうきゅうセンター

1977年に策定された「救急医療対策事業実施要綱」に基づく救急医療体制の一つ。初期救急医療施設および第2次救急医療施設の後方病院として,都道府県または都道府県知事の要請を受けた病院が整備・運営する。救命救急センターは,初期あるいは第2次救急医療施設から転送されてくる重篤な救急患者の医療を確保するため,脳神経外科循環器科などの医師を配置し,高度の救命医療の実施に必要な医療従事者・医療機器および CCU (心臓病治療ユニット) 等の専用病床を有している。都道府県に1ヵ所,または人口 100万人に1ヵ所設置するよう各地方自治体で整備が進んでおり,2001年現在,全国で 151ヵ所が厚生労働省の指定を受けている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵の解説

救命救急センター

急性心筋梗塞(こうそく)や脳卒中、重度の外傷・熱傷などの重症及び複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる三次救急医療施設。わが国の救急病院、救急診療所は「救急病院等を定める省令」に基づき都道府県知事が告示するが、これと並行して厚生労働省(厚労省)では傷病の重症度に応じて「初期救急」「二次救急」「三次救急」といった階層を設けて救急医療体制を整備している。このうち初期救急では、休日夜間急患センターや在宅当番医制などにより比較的軽症の救急患者の診療が行われている。また、二次救急では、病院群輪番制などにより中等症の患者で入院や手術を必要とする救急患者の診療が行われている。三次救急を担う救命救急センターは、これら初期救急や二次救急では対応できない、生命の危機を伴う重症・重篤な救急患者に対する救命措置や高度な医療を総合的に行うこととされており、初期救急・二次救急医療施設及び救急搬送機関からの救急患者は、原則として24時間必ず受け入れなくてはならない。そのため、これに対応できる設備や、重症で複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者に対応できる専門医の配置等が求められている。また、救命救急センターはおおむね100万人に対して1カ所を目標に整備が行われ、2008年2月1日現在、全国で計209カ所(一般の救命救急センター171カ所、より高度な救急医療を担う高度救命救急センター21カ所、20床未満の小規模の新型救命救急センター17カ所)と量的にはほぼ充足されてきている。しかし、新たに整備されつつある精神科救急、小児救急、周産期等の専門分野別の救急医療体制との連携が不十分であるなどの質的な体制整備の問題が浮上しており、07年12月に設置された厚労省の「救急医療の今後のあり方に関する検討会」が、今後の救命救急センターの整備について検討を行っているところである。

(小林千佳子 フリーライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

救命救急センター

急性心筋梗塞(こうそく)や脳卒中、頭部の外傷など命に危険が及びかねない、最も重い患者を24時間態勢で診る救急施設。人口100万人あたり最低1カ所の設置が目安で、全国に254カ所(6月時点)ある。

(2012-11-11 朝日新聞 朝刊 1総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説

きゅうめいきゅうきゅう‐センター〔キウメイキウキフ‐〕【救命救急センター】

重症または複数の診療領域にわたる救急患者を24時間体制で受け入れ、診療する医療機関救急救命センター

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

きゅうめいきゅうきゅうセンター【救命救急センター】

救急医療対策のなかの第三次救急医療施設をいう。救急救命センターは,初期および第二次救急医療施設の後方病院として,脳卒中・心筋梗塞・頭部損傷等の重篤な救急患者を受け入れるため,高度の診療機能を有している医療機関で,1992年度からおおむね人口30万以上の地域に1ヵ所を目標とし,1997年現在,137ヵ所が整備されている。救急医療体制は,初期段階として休日・夜間急患センター,休日等歯科診療所,在宅当番医などの初期(第一次)救急医療施設や,病院群の輪番制等による第二次救急医療施設がある。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

救命救急センター
きゅうめいきゅうきゅうせんたー

重篤な救急患者に高度な医療を提供する医療機関。救急医療体制は、初期、二次、三次救急医療機関の機能分担に基づき構築されている。三次救急医療機関とは、二次では対応できない複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者に対し、高度な医療を総合的に提供する医療機関であり、それを救命救急センターという。おおむね人口100万人に1か所を目標に整備されており、2010年(平成22)6月の時点で231か所である。高度救命救急センターは、厚生労働省によれば、救命救急センターに収容される患者のうち、とくに広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特殊疾病患者を受け入れる施設とされているが、位置づけが曖昧(あいまい)であるとの指摘もあり、その要件の見直しが検討されている。
 厚生労働省が定めた救急医療対策事業実施要綱によると、救命救急センターは、休日夜間急患センター、在宅当番医制等の初期救急医療施設、病院群輪番制等の第二次救急医療施設、および救急患者の搬送機関との円滑な連携体制のもとに、重篤救急患者の医療を確保することを目的としている。
 救命救急センターの運営方針は下記の4点である。
(1)原則として、重症および複数の診療科領域にわたるすべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる。
(2)初期救急医療施設および第二次救急医療施設の後方病院であり、原則として、これらの医療施設および救急搬送機関からの救急患者を24時間体制でかならず受け入れる。
(3)適切な救急医療を受け、生命の危険が回避された状態にあると判断された患者については、積極的に併設病院の病床または転送元の医療施設等に転床させ、つねに必要な病床を確保する。
(4)医学生、臨床研修医、医師、看護学生、看護師および救急救命士等に対する救急医療の臨床教育を行う。
 救命救急センターのおもな整備基準は下記の内容である。
(1)専用病床(おおむね20床以上)を有し、24時間体制で、重症および複数の診療科領域にわたるすべての重篤な救急患者に対する高度な診療機能を有する。
(2)24時間診療体制を確保するために、必要な職員を配置する。具体的には、専門的な三次救急医療に精通しているとの客観的評価を受けている専任の医師(日本救急医学会指導医および認定医等)を適当数有すること、および他科の医師を必要に応じ適時確保できる体制を有すること。
 救命救急センターをめぐる社会環境の変化や現状のおもな課題としては、以下のような点があげられる。
(1)救急搬送の受入れ困難事案の発生
 救急搬送数は1997年からの10年間で50%以上増加している。とくに軽症患者が増加しており、救急搬送全体の約半数を軽症患者が占めるといわれている。不要不急の利用への対応に要する時間的ロスに伴い、緊急性の高い傷病者への対応への遅れが懸念されている。総務省消防庁による2008年の救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査によると、受入先医療機関選定のために各病院に照会した回数が4回以上の事案や、搬送先がみつからず、現場滞在時間が30分以上になった事案が全国平均4%前後発生している。重症以上傷病者の搬送困難事案では、受け入れできないおもな理由として、手術中または他の患者対応中、ベッド満床、処置困難等の理由が多い。これは、いわゆる「たらい回し」ではなく、本来二次救急医療機関で受け入れるべき患者が三次救急医療機関・救命救急センターに搬送されており、施設の受入能力を超えてしまうことにより受入不能となるケースが含まれていると考えられる。一次二次救急を含めた救急医療体制全体での対策が求められる。
(2)院内の救急受入れ体制強化の遅れ
 救急医療機関では、救急利用の増加や多様化に対応した体制の強化が十分に進んでおらず、救急医療を担う医師、看護師、コメディカル(医師・看護師以外の医療従事者)等の不足や過酷な勤務状況が課題となっている。救急医療は、採算性にかかわらず提供されることがとくに求められる分野であり、病院独自での人員確保には限界がある。公的支援の強化が望まれる。
(3)救急医療に対する期待値の増大
 救急医療に対する患者からの期待や要求は増大してきており、「病院に行けばかならず助かる。時間と場所によらず、いつでもどこでも高度な専門医療を受ける権利がある」という過大な期待への対応や訴訟リスクへの懸念により、医療提供側の時間的・心理的負担が増大している。住民や患者の理解・協力を深めるような施策が行政機関には望まれる。
 前記のような状況を踏まえ、救命救急センターに対しては、機能の強化・質の向上へのいっそうの取組みを促すために「充実段階評価」が実施されている。この評価の柱は以下の4点にある。
(1)重症・重篤患者に係る診療機能、(2)地域の救急搬送・救急医療体制への支援機能、(3)救急医療に関する教育機能、(4)災害医療への対応機能の4点である。
 以上のほかに、最寄りの救命救急センターへの搬送に長時間を要するような状況(地域特性)の勘案、医師の負担軽減など医療従事者の労働環境改善に係る項目、メディカルコントロール協議会への関与、救急医療情報システムへの関与などの項目も評価されている。今後の救急医療体制の充実に向けた対策が期待される。[前田幸宏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の救命救急センターの言及

【救急医療】より


[集中治療(クリティカル・ケアcritical care)]
 非常に重症な患者は,内科や外科などの診療科目,および病気やけがの内容にかかわらず,病院内に設置された集中治療室で治療をうけることが多くなってきた。救命救急センターまたは救急医療センターと呼ばれている施設では,病院の内外から重症患者を受け入れている。重症患者はおもに呼吸と循環の治療が必要であり,その目的のために,医師,看護婦,医療従事者などの人員および監視用・治療用の医療機器類を1施設に集めて,24時間体制での診療が行われる。…

※「救命救急センター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

救命救急センターの関連キーワード東金市と九十九里町による地域医療センターの県試案原子力災害医療・総合支援センター東金九十九里地域医療センター札幌医大病院の院内感染問題自動車事故被害者問題救急医療用ヘリコプタ独協医科大越谷病院救急崩壊の対策県内の救急医療ドクターヘリ交通安全対策コードブルー五島 雄一郎ドクターカー災害拠点病院1~3次救急急性心筋梗塞松戸市立病院魚沼基幹病院地域医療

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

救命救急センターの関連情報