数奇（読み）スウキ

デジタル大辞泉

すう‐き【数奇】

［名・形動］《「数」は運命、「奇」は不運の意》
１ 運命のめぐりあわせが悪いこと。また、そのさま。不運。「報われることのなかった数奇な人」
２ 運命に波乱の多いこと。また、そのさま。さっき。「数奇な運命にもてあそばれる」
[類語]薄幸・不幸・不幸せ・薄命・因果

さっ‐き〔サク‐〕【^▽数奇】

［名・形動］「すうき（数奇）」に同じ。「数奇な運命」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

すう‐き【数奇】

1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
2. ① ( 「数」は運命、「奇」は不遇の意 ) 運命のめぐりあわせが悪いこと。また、そのさま。ふしあわせ。不幸。不運。不遇。すき。
   1. [初出の実例]「固知儒業之拙。摠是数奇之源也」(出典：本朝文粋（1060頃）六・申民部大輔状〈橘直幹〉)
   2. 「数奇失意の人は造化を怨み、自然を憤りて」(出典：柵草紙の山房論文（1891‐92）〈森鴎外〉早稲田文学の没理想)
   3. [その他の文献]〔史記‐李広伝〕
3. ② 運命がさまざまに大きく変化すること。運命に波乱のあること。また、そのさま。数奇(さっき)。
   1. [初出の実例]「人に叛き世に抗する数奇の放浪児が為に」(出典：海潮音（1905）〈上田敏訳〉ボドレエル評)
4. ③ ⇒すき（好）

さっ‐きサク‥【数奇】

1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ＝すうき（数奇）①
   1. [初出の実例]「その女主人公と云ふのが、いろいろ数奇(サクキ)な運命に弄ばれた結果だね」(出典：路上（1919）〈芥川龍之介〉六)

す‐き【数奇】

1. 〘 名詞 〙 ( 「数」は運命、「奇」は不遇の意 ) 不遇なめぐりあわせ。ふしあわせな運命。不幸。不運。すうき。

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【数奇】すうき・さくき

不運。不幸な運命。〔漢書、李広伝〕大將軍（衛青）陰(ひそ)かに上指を受く。以爲(おも)へらく、李廣は數奇、單于(ぜんう)に當らしむること毋(なか)れ。らくは欲するを得ざらんと。～故に廣を徙(うつ)さんとす。廣、之れを知りて固辭す。

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出典　平凡社「普及版 字通」