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海潮音 かいちょうおん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

海潮音
かいちょうおん

上田敏 (びん) の訳詩集。 1905年刊。 02年頃から手がけたフランス象徴派,高踏派の訳詩を集め,序として解説を施したもので,日本の象徴詩運動の先駆となった。

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デジタル大辞泉の解説

かいちょう‐おん〔カイテウ‐〕【海潮音】

波の音。潮の響き。潮音。
仏語。仏・菩薩(ぼさつ)の広大な慈悲の音声があまねく聞こえることを波の音にたとえた語。潮音。
[補説]書名別項。→海潮音

かいちょうおん【海潮音】[書名]

上田敏の訳詩集。明治38年(1905)刊。西欧の詩人29人の作品57編を訳したもの。日本の近代詩、特に象徴主義導入に大きな影響を与えた。

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百科事典マイペディアの解説

海潮音【かいちょうおん】

上田敏の訳詩集。1905年刊。フランスの高踏派象徴主義の詩を中心に,英,独,伊,プロバンスの詩人29人の詩57編を収める。名訳として知られ,ブッセ《山のあなた》ベルレーヌの《落葉》などが名高い。

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世界大百科事典 第2版の解説

かいちょうおん【海潮音】

上田敏の訳詩集。1905年(明治38)本郷書院刊。《明星》を中心に発表してきた西欧29詩人の詩57編を集めたもので,フランス詩壇の最新思潮である高踏派,象徴派に重点が置かれている。原詩の気息を生かした柔軟な翻訳で,ルコント・ド・リールの〈象〉など高踏派の壮麗な詩体は雅語を連ねた重厚な調べに移され,G.ダヌンツィオの華麗な〈燕の歌〉,R.ブラウニングの清新な〈春の朝〉,カール・ブッセの浪漫的な〈山のあなた〉など,いずれも名訳の誉れが高い。

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大辞林 第三版の解説

かいちょうおん【海潮音】

海の音。打ち寄せる波の音。
仏や菩薩の説法の声。また、衆僧の読経の声。
書名(別項参照)。

かいちょうおん【海潮音】

訳詩集。上田敏訳。1905年(明治38)刊。フランス高踏派・象徴派の作が中心。ブッセ「山のあなた」、ベルレーヌ「落葉」などを収める。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海潮音
かいちょうおん

上田敏(びん)の訳詩集。1905年(明治38)10月、本郷書院刊。近代ヨーロッパの29人の詩人の、57編の作品を収める。「秋の日の/オロンの/ためいきの」と始まるベルレーヌの「落葉(らくえふ)」、「山のあなたの空遠く/『幸(さいはひ)』住むと人のいふ」と歌い出されるカール・ブッセの「山のあなた」、さらにはブラウニングの「春の朝」など人口に膾炙(かいしゃ)した名編が多い。訳された詩人はイギリス、ドイツ、イタリアなど多彩な顔ぶれだが、なかでもフランスのボードレール、マラルメ、ベルレーヌ、ベルハーレンなど象徴派の作品の翻訳は、日本への最初の紹介として重要である。親しみやすい用語のなかに情感を盛り込んだ翻訳は、訳者の豊かな学識と柔軟な感性や美意識をみごとに結び合わせたもので印象深い。詩における「象徴」の意味を説く「序」も重要で、近代詩の流れを大きく動かす働きをした。薄田泣菫(すすきだきゅうきん)、蒲原有明(かんばらありあけ)、北原白秋(はくしゅう)らへの直接の影響も見逃せないが、その韻律のなかに西洋の香りをみごとに定着した文学世界が、近代日本人の感性に与えた影響も、また計り知れないものがあろう。[中島国彦]
『『上田敏全訳詩集』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の海潮音の言及

【オーバネル】より

…これらの作品には,地中海沿岸の風土にはぐくまれ,ラテン人の濃い血を受けた南仏人に共通する明るさと情熱とがうかがいうる。ちなみに,オーバネルの名は,上田敏の《海潮音》に収められた珠玉のような訳詩によって,日本でも早くから親しまれている。【杉 冨士雄】。…

【詩】より

…明治30年代にはまた,与謝野寛(鉄幹)・晶子らが浪漫主義の旗をかかげ,新詩社を母胎に雑誌《明星》を創刊,一方,河井酔茗,横瀬夜雨,伊良子清白ら《文庫》派の詩人たちも清新な抒情詩の秀逸を数多く発表した。薄田泣菫の《白羊宮》(1906),蒲原有明の《春鳥集》(1905)は,新体詩の達しえた高度に複雑な言語美の世界を示したが,彼らの高踏的・象徴的詩風は,フランス高踏派や象徴派に主眼をおいた訳詩によって日本近代詩史に甚大な影響を及ぼした上田敏の《海潮音》(1905)と同じ精神の土壌から発していた。訳書としての《海潮音》が明治末期の詩界で果たしたのと同様な役割を大正末期・昭和初期に果たしたのは,堀口大学の訳詩集《月下の一群》(1925)である。…

【ブラウニング】より

…純真な女工の歌により4人の悪人が改心する物語について,複数の登場人物が自分の立場から意見を述べる〈劇的独白〉の手法がいかされている。この作品は上田敏の《海潮音》に〈春の朝(あした)〉として訳出されている。 46年には女流詩人エリザベスと結婚,フィレンツェで幸福な生活を送り,傑作《男と女》(1855)を完成させた。…

【ロセッティ】より

…晩年,精神的・肉体的障害に苦しみ麻酔剤クロラールの中毒にかかり,多彩な生涯をとじた。日本では蒲原有明《独絃哀歌》(1903)や上田敏《海潮音》(1905)にロセッティのソネット数編が訳され,有明の恋のよろこびと恐れを観念的・象徴的にうたう詩風には〈生命の家〉の影響がみられる。【湊 典子】【松浦 暢】。…

※「海潮音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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