精選版 日本国語大辞典 「敷き」の意味・読み・例文・類語
しき【敷・鋪】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「しく(敷)」の連用形の名詞化 )
- ① 敷くこと。また、敷くもの。物の底や下などに敷くもの。〔十巻本和名抄(934頃)〕
- [初出の実例]「筥のしきに大納言どののかかせ給へる」(出典:栄花物語(1028‐92頃)もとのしづく)
- ② 和船の船底材である、𦨞(かわら)の別称。海船や川船など、船型によってその構成は異なる。〔和漢船用集(1766)〕
- ③ 木材を薄く平らにしたもの。板。
- [初出の実例]「昔さる所へ、史記をかし給へといひ付てつかはしければ、物の見事なる板を大男あまたにもたせて来りけるほどに、是は何事ぞといへば、しきと仰られたるほどに、しきは板の事なれば是をかりて参りたといふた」(出典:咄本・私可多咄(1671)二)
- ④ 屋敷。家。
- [初出の実例]「おまへのよぎ、ふとん、おはおりで、二両はかしそふなもんだ。それほどにならずともいいが、五つまへにゃアしきにもってめいりやす」(出典:洒落本・契情買虎之巻(1778)一)
- ⑤ 地面。一区画の土地の広さ。
- [初出の実例]「京の壱町と云は七十八ひろ四方なり。此時はしきの間六拾間四方なり」(出典:多胡辰敬家訓(1544頃))
- ⑥ ばくちや密会などを行なうための部屋を貸すこと。また、その部屋。
- ⑦ 犯人の身を隠しているところ。隠れ家。
- [初出の実例]「盗人は言はねえでも知れた事だ、悪い人にでも聞かれて見ろ、直におれに縄がかからあ。さうなる日にはここは鋪(シキ)、手前達まで引合だぞ」(出典:歌舞伎・花街模様薊色縫(十六夜清心)(1859)三幕)
- ⑧ 鉱山の坑道。鉱山内の一鉱区。坑内。間歩(まぶ)。〔梅津政景日記‐慶長一七年(1612)三月八日〕
- [初出の実例]「何でも朝の番に当った坑夫がシキへ這入る時間に相違ない」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)
- ⑨ 売買や貸借などの保証金。証拠金。敷金。
- ⑩ 「しきい(敷居)」の略。
- [初出の実例]「ふみつけて・戸をはめらるる敷のそり」(出典:雑俳・住吉おどり(1696))
- ⑪ 「しきぶとん(敷蒲団)」の略。
- [初出の実例]「敷(シキ)の厚いのは困る」(出典:黴(1911)〈徳田秋声〉五一)
- ⑫ 仲介の手数料。謝礼。使用料。
- [初出の実例]「お嬢様を自分の二階で男と密会をさせていくらかしきを取る」(出典:敵討札所の霊験(1887)〈三遊亭円朝〉八)
- ⑬ ( 「河川敷(かせんしき)」「倉敷」など、多く他の語と複合して用いる ) 「しきち(敷地)」の略。