知恵蔵 「新パナマ運河」の解説
新パナマ運河
管轄権はパナマ共和国にあるが、スエズ運河と同じ国際運河で、外国船舶の航行は国際条約で認められている。運河拡張によって、通過できる船の幅は従来の約1.5倍(49メートル)に広がり、現在の大型貨物船の約9割が通行可能になった。コンテナ積載量では、1隻当たり約2.6倍(1万3千個)の大幅増となる。また、課題となっていた渋滞も解消される見込みで、年間通航量は約2倍(6億トン)増と試算されている。パナマは国内総生産(GDP)の約8割を運河使用料や観光、金融など運河関連事業に依存しており、経済に与える影響は大きい。
国際貿易にも多大な恩恵をもたらすと注目されているが、とりわけ北米東岸とアジアを結ぶルートが大きく短縮されることから、日本では需要が増えている液化天然ガス(LNG)の輸送コスト軽減への期待が高まっている。アメリカ南部(メキシコ湾岸)から輸送する場合、従来の大西洋~喜望峰経由のルートに比べると、約6割の日数で済むからだ。なお、大西洋と太平洋をつなぐルートでは、新たに中国がニカラグアを通る巨大運河の建設を計画している。
(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報