日本大百科全書(ニッポニカ) 「新国史」の意味・わかりやすい解説
新国史
しんこくし
平安中期の編纂(へんさん)とされる官撰(かんせん)の歴史書。『日本三代実録』を継ぐもので『続三代実録』ともいわれるが、現存せず内容は不明。『本朝書籍目録(ほんちょうしょじゃくもくろく)』(鎌倉後期の成立と推定)には「新国史四十巻、朝綱(ともつな)撰、或(あるい)ハ清慎公(せいしんこう)撰、仁和(にんな)ヨリ延喜(えんぎ)ニ至ル」とあり、『拾芥抄(しゅうがいしょう)』(鎌倉中期に原形成立)には「新国史五十巻、村上(むらかみ)ノ御時、小野宮殿、仰セヲ奉リテコレヲ撰(えら)バル、或ハ続三代実録ト号ス」とある。『類聚符宣抄(るいじゅうふせんしょう)』(第10、撰国史所)の記事をあわせて考えると、清慎公(小野宮左大臣藤原実頼(さねより))のもとで撰国史所別当大江朝綱らが編修にあたり、その内容は宇多(うだ)・醍醐(だいご)天皇の2代(40巻)、または朱雀(すざく)天皇を加えた3代(50巻)の国史と推定される。しかし完成奏上の記録がなく、諸書に散見する逸文が国史の文として整っていないことから、この『新国史』は未定稿であったとも推測されている。
[谷口 昭]
『和田英松著『本朝書籍目録考証』(1936・明治書院)』