中世に編纂された日本最初の和書目録。1巻。《御室和書目録》《仁和寺書籍目録》《日本書籍総目録》ともいう。奥書に〈この抄,入道大納言実冬卿密々に借賜わるところの本なり,永仁2年(1294。永仁を永正とする伝本もある。永正2年なら1505)8月4日これを写す。師名(在判)〉とあるところから,鎌倉後期,弘安~正応(1278-93)ころの成立と考えられている。編者は奥書にみえる滋野井大納言藤原実冬(1243-1303)と推定されるが,室町時代15世紀の清原業忠・冷泉(れいぜい)大納言藤原為富とする説もある。内容は神事,帝紀,公事,政要,氏族,地理,類聚,字類,詩家,雑抄,和歌,和漢,管絃,医書,陰陽,伝記,官位,雑々,雑抄,仮名の20項に分かれ,合計500近い書について,その書名・巻数・撰著者を可能な限り記し,簡略ではあるが解題を付したものもある。この中には現存しない書も多い。伝本はきわめて多く,最古の書目として珍重されたことがうかがえる。《群書類従》所収。
執筆者:飯田 悠紀子
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日本人が鎌倉前期までに編纂(へんさん)・著述した書物の目録。一巻。編者未詳。鎌倉中期の成立。書名493点を神事、帝紀、公事(くじ)などの20部門に分類している。ただし和歌の書物については、すでに『和歌現在書目録』があったため省略されている。書名の下に巻数と作者を注記しただけの目録であるが、散逸した書物の名がみられる点で貴重である。本来は、鎌倉前期までの日記の目録『諸家名記(しょけめいき)』と合冊して伝わっていたらしい。
[益田 宗]
『和田英松著『本朝書籍目録考証』(1936・明治書院)』
「御室書籍目録」とも。日本で著された典籍を分類した総合的な図書目録。編者不詳。1277~94年(建治3~永仁2)の成立。収録書物数は493点で,神事・帝紀・公事・政要・氏族・地理・類聚・字類・詩家・雑抄・和歌・和漢・管絃・医書・陰陽・人々伝・官位・雑々・雑抄・仮名の20部門に分類される。ただし仏書・歌書は対象外で「土佐日記」「更級日記」なども採録されていない。分類に多少の混乱はあるが,日本最古の国書の総合目録として貴重。
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