新淀川(読み)しんよどがわ

改訂新版 世界大百科事典 「新淀川」の意味・わかりやすい解説

新淀川 (しんよどがわ)

大阪市北部を流れて大阪湾に注ぐ淀川下流都島区毛馬(けま)町の毛馬閘門(こうもん)で旧淀川の大川を分岐してから河口までの区間9.8kmをさす。淀川の下流はもと神崎川中津川,大川に分かれて大阪湾に入っていたが,1885年の大洪水契機に住民による河川改修運動が激化し,97年に淀川改良工事が着手された。その最重点区間である新淀川放水路開削が完成したのは6年後で,大型土木機械を使用した日本最初の大規模な河川工事であった。大川は洗堰閘門によって締め切られ,以後新淀川が淀川本流となった。河岸には化学,鉄鋼,金属,繊維,印刷などの大工場が進出し,阪神工業地帯の一翼を構成している。最近は河岸に高層住宅団地の建設が目立ち,また治水・利水のための淀川大堰と新毛馬水門が1983年完成した。
淀川
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新淀川」の意味・わかりやすい解説

新淀川
しんよどがわ

大阪市の北部を流れる淀川下流の放水路。都島区(みやこじまく)毛馬(けま)で旧本流から分かれ、ほぼ直線状に大阪湾に注ぐ。1885年(明治18)の大洪水後、治水のため開削された全長約10キロメートル、幅員約800メートルの新川で、1898年長柄(ながら)運河掘削から着工、1910年(明治43)完成。毛馬の洗堰(あらいぜき)で旧本流に必要な水だけを流し、市街地を洪水から守る役目を果たす。現在は河川行政上、新淀川流路を単に淀川、旧本流を旧淀川とよぶ。

前田 昇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新淀川」の意味・わかりやすい解説

新淀川
しんよどがわ

大阪府を流れる淀川下流の人工の放水路。大阪市都島区毛馬 (けま) から分水,南西流して大阪湾に注ぐ。長さ 7km,川幅約 800m。淀川の洪水対策として 1898年着工,1909年に完成した。 65年の河川名称変更で,この新淀川を淀川とし,毛馬から中心市街地を貫流するもとの淀川を旧淀川と呼ぶことになった。現在,河川には淀川河川公園が整備され,レクリエーションに活用されている。

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