放水路(読み)ホウスイロ(英語表記)flood way
divertion channel

デジタル大辞泉 「放水路」の意味・読み・例文・類語

ほうすい‐ろ〔ハウスイ‐〕【放水路】

河川氾濫はんらんを防ぐなどのため、河川の途中から海などに向けて造った水路。また、水力発電所から排出される水を河川などへ放流するための水路。

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精選版 日本国語大辞典 「放水路」の意味・読み・例文・類語

ほうすい‐ろ ハウスイ‥【放水路】

〘名〙 河川の利用価値を増し、あるいは洪水氾濫(はんらん)の害を防ぎ、または水力発電所で利用した水を放流するため、人工的に設けた水路。〔電気工学ポケットブック(1928)〕
機関車に巣喰ふ(1930)〈龍胆寺雄〉「放水(ハウスヰロ)の大堤防へ」

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改訂新版 世界大百科事典 「放水路」の意味・わかりやすい解説

放水路 (ほうすいろ)
flood way
divertion channel

河川における洪水処理の一方法で,洪水の全部または一部を海,湖などに放流するために,川から分派させる形で新たに開削される水路のこと。分水路ともいう。放水路は,おもに地形条件を前提に,現河道の大幅な拡幅の回避,改修区間の短縮,河口港の土砂埋没防止などを目的として計画される。江戸時代に開削された放水路として,大和川放水路,旭川の百間川放水路などが有名であるが,明治時代以降,雄物川放水路,加治川放水路,大河津分水路・関屋分水路信濃川),荒川放水路,江戸川放水路狩野川放水路,豊川放水路,新淀川太田川放水路など多数開削されており,近代河川改修工事の中核をなしてきた。放流先は海がふつうであるが,適当な河川を選んでこれに改修を加え放流する場合もあり,新北上川,新江合川,三郷放水路(中川から江戸川へ)などがこの例である。また,放流先が湖である例は,現在日本では琵琶湖に放流する野洲川水路のみである。世界的には,中国の淮河(わいが)流域の多数の放水路やミシシッピ川の放水路が著名である。なお,水力発電所で利用した後の水を放流するための水路も放水路tailraceという。
洪水
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「放水路」の意味・わかりやすい解説

放水路
ほうすいろ
floodway
diversion channel

洪水防御のために河川の洪水の一部を他河川や海に分流するために開削される水路。放水路は北上川、信濃(しなの)川、荒川、江戸川、狩野(かの)川、豊(とよ)川、太田川など多くの河川で開削されている。水力発電所で発電に使用した水を河川に放流するための水路も放水路tailraceという。

[鮏川 登]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「放水路」の意味・わかりやすい解説

放水路
ほうすいろ
diversion channel; floodway

使った水をもとの河川に導いたり,海へ放流するための水路,あるいは洪水処理の目的で河川から海へ分流させる水路。後者は分水路ともいわれる。大都市を貫流する河川では,洪水流量を流すのに十分な河川敷をとったり,大きな堤防を造ることが不可能な場合が多いので,河川の安全と維持管理のため,分派と放水を行う。

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