新発意(読み)シボチ

デジタル大辞泉 「新発意」の意味・読み・例文・類語

し‐ぼち【意】

《「しんぼち」の撥音の無表記》出家して間もない人。
「かの国の前の守、―の、むすめかしづきたる家、いといたしかし」〈若紫

しん‐ぼち【新意/新発】

発心ほっしんして僧になったばかりの人。仏門に入ってから間もない人。しぼち。しんぼっち。

しん‐ぼっち【新意】

しんぼち(新発意)

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精選版 日本国語大辞典 「新発意」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぼち【新発意・新発】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。
  2. 新たに発心して仏道にはいること。また、その人。新たに出家した者。特に、武家などの出家した者をさすこともある。初発心。今道心。青道心。しんぼっち。
    1. [初出の実例]「六地以還、不新発、而其不解如来実智之理。皆是一種無異故。皆称新発」(出典法華義疏(7C前)一)
    2. 「跡は七十に余りし庫裏姥ひとり十二三なる新発意(シンボチ)壱人」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)四)
  3. 真宗で寺のあとつぎをいう。

新発意の語誌

シンボチとよむのが一般的であるが、「源氏物語」などには撥音無表記により「しぼち」とあり、また、「文明本節用集」に「シンホツイ」、「明応本節用集」に「シホツイ」、「黒本本節用集」に「シンボチイ」と見える。これに対し、「節用集大全」(一六八〇)に「シンボチ」「シンボチイ」の両形、「広益二行節用集」(一六八六)に「シンボチ」、「書言字考節用集‐四」(一七一七)に「シンボチ」が認められ、元祿に入って刊行された節用集以降は、ほぼシンボチに定着していくようである。


しん‐ほつい【新発意】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しんぼつい」とも ) =しんぼち(新発意)
    1. [初出の実例]「しかも、もろもろの新発意(シンホツイ)(〈注〉アラタニココロヲヲコス)の菩薩ほとけ滅後におきて、もしこの語をきかば」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五)

し‐ぼち【新発意】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しんぼち」の撥音の無表記 ) 新たに発心して仏門にはいった者。仏門にはいってまもない者。
    1. [初出の実例]「かの国のさきの守、しぼちの、女(むすめ)かしづきたる家、いと、いたしかし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)

しん‐ぼっち【新発意】

  1. 〘 名詞 〙しんぼち(新発意)
    1. [初出の実例]「文政六年癸未四月真志屋五郎作新発意(シンボッチ)寿阿彌陀仏」(出典:寿阿彌の手紙(1916)〈森鴎外一九)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新発意」の意味・わかりやすい解説

新発意
しんぼっち

菩提心を起して仏道の修行に入ること。浄土真宗では,得度した若い男子を新発意と呼ぶ。

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世界大百科事典(旧版)内の新発意の言及

【御茶の水】より

…出家狂言。寺の住持が,新発意(しんぼち)(出家して間もない少年)に命じて,野中の清水へお茶の水をくみにやろうとする。が,新発意が言いつけにそむくので,住持は門前のいちゃ(若い女の通り名)に行かせる。…

※「新発意」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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