日本大百科全書(ニッポニカ) 「新知島」の意味・わかりやすい解説
新知島
しんしるとう
千島列島中部の火山島。ロシア名シムシル島Остров Симушир/Ostrov Simushir。語源はアイヌ語であるが、意味は不詳。北東―南西方向に長く、長さ約60キロメートル、幅約7~10キロメートル、面積325平方キロメートル。北東は新知(ディアナ)海峡を挟んで計吐夷(ケトイ)島に臨み、南西は幅の広い北得撫(ウルップ)(ブッソーリ)海峡によって知里保以(チリホイ)島と隔てられる。島の北端には沈水カルデラの武魯頓(ブロートン)湾、中央部には三重式火山と緑湖カルデラ、および均整のとれた円錐(えんすい)火山の新知富士(プレボ火山、1360メートル)、南部には新知岳(ミリン火山、1528メートル)などの火山地形が多い。南西部の新知(ミリン)湾が錨地(びょうち)となるほかは海食崖(がい)が連なっている。第二次世界大戦前は根室支庁(現根室振興局)管内の新知郡を構成したが、新知島を含む中部千島は農林省の養狐(ようこ)場が置かれ、一般人の入島はできなかった。戦後はソ連、現在はロシアの支配下にあり、サハリン州に所属している。
[渡辺一夫]