新美南吉(読み)ニイミナンキチ

デジタル大辞泉 「新美南吉」の意味・読み・例文・類語

にいみ‐なんきち〔にひみ‐〕【新美南吉】

[1913~1943]児童文学者。愛知の生まれ。本名、正八。素朴な善意や人生の哀歓を詩情豊かに描く。作「ごんぎつね」「おぢいさんのランプ」など。

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共同通信ニュース用語解説 「新美南吉」の解説

新美南吉

新美南吉にいみ・なんきち 本名正八しょうはち。1913年生まれ。愛知県半田市出身。人生の喜び、悲しみをテーマ子どもや身近な動物を描いた作家として知られる。14歳から創作を始め、童話「手袋を買いに」「デンデンムシノカナシミ」など1500点以上の作品を残した。代表作「ごんぎつね」は小学4年生の国語教科書に採用されている。喉頭結核のため、29歳で亡くなった。

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精選版 日本国語大辞典 「新美南吉」の意味・読み・例文・類語

にいみ‐なんきち【新美南吉】

  1. 児童文学者。本名正八。愛知県出身。「赤い鳥」に「ごん狐」などの童話を発表。豊かなストーリー性と郷土色特徴とする多くの童話を発表。童話集「おぢいさんのランプ」「花のき村と盗人たち」など。大正二~昭和一八年(一九一三‐四三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新美南吉」の意味・わかりやすい解説

新美南吉
にいみなんきち
(1913―1943)

児童文学者。大正2年7月30日、愛知県半田町(現半田市)に生まれる。本名正八(しょうはち)。10代の末にすでに『赤い鳥』に投稿、「ごんぎつね」その他が掲載された。1932年(昭和7)東京外国語学校英語部入学、小説、童話、童謡を書く。卒業後、貿易商に勤務したが喀血(かっけつ)で帰郷。不遇な時代を経て、38年安城(あんじょう)高等女学校教諭となる。友人江口榛一(えぐちしんいち)の尽力で『哈爾賓(ハルピン)日日新聞』に「最後の胡弓(こきゅう)ひき」などを、また巽聖歌(たつみせいか)編の『新児童文化』に「川」「嘘(うそ)」などを発表。41年『良寛物語・手毬(てまり)と鉢の子』を、42年第一童話集『おぢいさんのランプ』を刊行。同年5月には、郷里を背景に古き懐かしき時代の善人を民話的スタイルで書いた「牛をつないだ椿(つばき)の木」「百姓の足・坊さんの足」ほか数編の傑作を集中的に書くが、翌年3月22日咽喉(いんこう)結核で没。死後、第二童話集『牛をつないだ椿の木』、第三童話集『花のき村と盗人(ぬすびと)たち』(ともに1943)が刊行された。その作品は第二次世界大戦後高く評価され、宮沢賢治と並び称せられるに至る。

浜野卓也

『『校定新美南吉全集』12巻・別巻2(1980~83・大日本図書)』『『おじいさんのランプ』(偕成社文庫・フォア文庫・ポプラ社文庫)』『『牛をつないだ椿の木』(角川文庫)』『『花のき村と盗人たち』(講談社文庫)』『佐藤通雅著『新美南吉童話論』(1970・牧書店)』『浜野卓也著『新美南吉の世界』(1973・新評論/講談社文庫)』

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20世紀日本人名事典 「新美南吉」の解説

新美 南吉
ニイミ ナンキチ

昭和期の童話作家,児童文学者



生年
大正2(1913)年7月30日

没年
昭和18(1943)年3月22日

出生地
愛知県知多郡半田町(現・半田市)

本名
渡辺 正八

学歴〔年〕
東京外国語学校(現・東京外国語大学)英語部文科〔昭和11年〕卒

主な受賞名〔年〕
毎日出版文化賞(第14回)〔昭和35年〕「新美南吉全集」(全3巻 大日本図書),サンケイ児童出版文化賞(第8回)〔昭和36年〕「新美南吉全集」,高橋五山賞〔昭和55年〕

経歴
中学時代から鈴木三重吉の「赤い鳥」に投稿、昭和6年「正坊とクロ」「張紅倫」、7年「ごんぎつね」「のら犬」が入選した。この間巽聖歌らの童謡雑誌「チチノキ」同人となる。11年郷里の安城高女で教鞭をとり、童話・童謡・詩・小説など創作活動を続けたが、結核のため短い生涯に終る。死後その民芸品的な名作群の多くは知人らの手により刊行された。主な作品に「赤いろうそく」「川」「屁」「ごんぎつね」「手ぶくろを買いに」、作品集に「花のき村と盗人たち」「おじいさんのランプ」「牛をつないだ椿の木」「大岡越前守」「和太郎さんと牛」「久助君の話」などがあり、全集に「校定 新美南吉全集」(全12巻 大日本図書)がある。平成6年6月愛知県半田市に新美南吉記念館が開館。

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改訂新版 世界大百科事典 「新美南吉」の意味・わかりやすい解説

新美南吉 (にいみなんきち)
生没年:1913-43(大正2-昭和18)

児童文学者。愛知県の生れ。本名渡辺正八。東京外語英語部卒業。半田中学在学中から《少年俱楽部》《愛誦》などの諸雑誌に投稿したり,級友たちと作品朗読会を開くほか,同人誌《オリオン》を出すなど,早熟な文学少年であった。1931年の中学卒業前後に書いた《ごん狐》《正坊とクロ》などの童話が鈴木三重吉に認められて《赤い鳥》に掲載され,その縁で巽聖歌,与田準一などの同人誌《チチノキ》に参加,多くの童謡を発表した。34年,東京外語在学中に喀血,卒業後帰郷して38年から安城高等女学校の教諭となり,“久助君もの”と呼ばれる少年心理を掘りさげた作品,後期メルヘンの《花のき村と盗人たち》《牛をつないだ椿の木》などを執筆。41年,最初の単行本《良寛物語・手毬と鉢の子》,42年,第1童話集《おぢいさんのランプ》を刊行して新人作家として嘱望されたが,咽喉結核のため30歳にみたない生涯をとじた。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新美南吉」の意味・わかりやすい解説

新美南吉
にいみなんきち

[生]1913.7.30. 愛知,半田
[没]1943.3.22. 愛知
童話作家。 1936年東京外国語学校英文科卒業。『正坊とクロ』 (1931) ,『ごん狐』 (32) などにより鈴木三重吉に認められ,北原白秋,与田凖一らの知遇も得たが,最初の童話集『おじいさんのランプ』 (42) を残したのみで結核のため夭折した。没後『牛をつないだ椿の木』 (43) ,『花のき村と盗人たち』 (43) などが刊行され,その近代性が再評価された。ほかに小説集『花を埋める』 (46) ,詩集『墓碑銘』 (62) など。

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百科事典マイペディア 「新美南吉」の意味・わかりやすい解説

新美南吉【にいみなんきち】

児童文学者。愛知県生れ。本名正八。東京外語卒。鈴木三重吉に見いだされ,《赤い鳥》に童話や童謡を発表,1942年,童話集《おぢいさんのランプ》で認められた。生活に密着したユーモアのある作品で,将来を嘱望されたが,翌年没した。童話集《花のき村と盗人たち》《牛をつないだ椿の木》などが没後に出た。全集がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「新美南吉」の解説

新美南吉 にいみ-なんきち

1913-1943 昭和時代前期の児童文学者。
大正2年7月30日生まれ。昭和6年から「赤い鳥」に童話・童謡を投稿し,「ごん狐」などが掲載される。病気とたたかいながら童話集「おぢいさんのランプ」などを発表。昭和18年3月22日死去。31歳。死後,童話集「花のき村と盗人たち」「牛をつないだ椿の木」などが刊行され,たかく評価された。愛知県出身。東京外国語学校(現東京外大)卒。旧姓は渡辺。本名は正八。

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367日誕生日大事典 「新美南吉」の解説

新美 南吉 (にいみ なんきち)

生年月日:1913年7月30日
昭和時代の児童文学者;詩人
1943年没

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世界大百科事典(旧版)内の新美南吉の言及

【児童文学】より

…これは,回想的・私小説的方法とともに,児童文学から物語性に富んだおもしろさをうばいとり,子どもを通俗文学のとりことして放置する結果を生んだ。その間にあって,宮沢賢治,新美南吉の童話は想像ゆたかな物語性で異色を放ち,また幼年童話における浜田広介は独特な調子で近代説話を語り,それぞれ戦中・戦後にわたって広範な読者をもった。 第2次世界大戦後,平和と民主主義という新しい価値観の到来とともに,《赤とんぼ》《銀河》《子供の広場》など文化的・進歩的な児童雑誌の創刊があいつぎ,一種熱っぽい状況のなかで,石井桃子《ノンちゃん雲に乗る》(1947),竹山道雄《ビルマの竪琴(たてごと)》(1948),壺井栄《二十四の瞳》(1952)など今日にも残る作品が生まれた。…

※「新美南吉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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