喉頭結核(読み)コウトウケッカク

デジタル大辞泉 「喉頭結核」の意味・読み・例文・類語

こうとう‐けっかく【喉頭結核】

肺の結核病巣から結核菌喉頭に運ばれて起こる二次性の結核。声がしわがれ、物をのみ込むときに痛みがあり、せき・たんが増えるなどの症状を呈する。

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精選版 日本国語大辞典 「喉頭結核」の意味・読み・例文・類語

こうとう‐けっかく【喉頭結核】

〘名〙 肺結核の続発症として起こるのどの結核。症状は、声がしわがれ、物を呑みこむ時痛み、すっぱい物を食べるとしみ、咳、痰(たん)がふえるなど。
※秋立つまで(1930)〈嘉村礒多〉「喉頭結核で出ないかすれた声を絞って」

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家庭医学館 「喉頭結核」の解説

こうとうけっかく【喉頭結核】

 排菌(はいきん)している肺結核に続いて喉頭に結核性の病変がおこったものです。
 喉頭粘膜(こうとうねんまく)に生じた小さな損傷部位から、たんに含まれる結核菌が感染することが多いのですが、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)(コラム「粟粒結核」)などでは、血行性感染もあると考えられています。
 声帯せいたい)に病変を生じた場合は、片側性声帯炎(へんそくせいせいたいえん)のかたちをとることが多いとされています。
 潰瘍かいよう)や肉芽(にくげ)(炎症による結合組織や血管のかたまり)が喉頭粘膜に形成されるため、慢性喉頭炎より喉頭がん(「喉頭がん」)との鑑別を必要とすることが多いものです。片側性慢性声帯炎があるときは、喉頭結核か声門型喉頭がんを疑う必要があるといえます。
 以前に比較して結核性の病気は非常に減少していますが、まったくなくなったわけではありません。喉頭結核は、決して忘れてはならない喉頭の病気の1つといえます。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「喉頭結核」の意味・わかりやすい解説

喉頭結核
こうとうけっかく

結核菌によって喉頭が冒されたもので、結核に対する化学療法剤の発見以後その頻度は著しく減少はしているが、ときにみられる。以前は重症の肺結核の合併症としておこることが多かったが、最近では原発巣がほとんど不明なものが多くなっている。一側声帯炎や、喉頭蓋(がい)炎ないし腫瘍(しゅよう)という型が多く、喉頭癌(がん)と間違われることがある。症状も、喉頭癌に似て嗄声(させい)(しわがれ声)が多いが、潰瘍(かいよう)ができると疼痛(とうつう)がひどい。確定診断は病理組織学的に行う。治療は抗結核剤が著効を示す。

[河村正三]


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百科事典マイペディア 「喉頭結核」の意味・わかりやすい解説

喉頭結核【こうとうけっかく】

肺結核と合併することが最も多い。症状は,声がかすれ,咳(せき)が多く,嚥下(えんげ)痛などがある。喉頭鏡でみると片側の声帯に充血・腫脹(しゅちょう)などの病変があるのが特徴。初期には梅毒や癌とまぎらわしく,細菌検査,組織検査が必要。治療は局所の消炎療法のほか,抗結核剤を使用。
→関連項目結核

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