日本歴史地名大系 「新野郷」の解説 新野郷にいやごう 大阪府:摂津国島下郡新野郷「和名抄」高山寺本は「迩比夜」、東急本は「尓比夜」と訓ずる。「延喜式」神名帳の島下郡に名神大社として新屋坐天照御魂(にいやにますあまてるみたま)神社三座がある。現在、同社に比定される神社は茨木(いばらき)市内に三社ある。西河原(にしがわら)三丁目の天照御魂(あまてるみたま)神社、西福井(にしふくい)三丁目の新屋坐天照御魂神社、宿久庄(しゆくのしよう)五丁目の新屋坐天照御魂神社である。しかし最初の社地は西河原のそれで、他は後に分祀されたと伝えられている。また文和元年(一三五二)二月一八日の総持寺領散在田畠目録写(常称寺文書)に「番匠田 弐段 新屋村四条四里十二坪内 三月三日田 壱段 新屋村之内四条三里卅五坪内」とみえる。 新野郷にいのごう 島根県:隠岐国周吉郡新野郷「和名抄」所載の郷。同書高山寺本は「迩比乃」、東急本は「尓比乃」、名博本は「ニフノ」の訓を付す。藤原宮跡出土木簡に「次評新野里軍布」とみえ、長屋王家木簡によれば、和銅七年(七一四)周吉郡新野里の日下部真名比が御取(鰒)を四斤貢進している。平城京二条大路跡出土木簡によれば天平七年(七三五)には新野郷丹志里の宗我部阿久多が烏賊六斤を納入しているが、ほかに布施(ふせ)里も同年烏賊を貢進している。 新野郷にいのごう 静岡県:遠江国城飼郡・城東郡新野郷「和名抄」諸本にみえる郷名。東急本に「爾比乃」の訓がある。なお東急本では高橋(たかはし)郷と鹿城(からこ)郷の間に書かれている。「遠江国風土記伝」「掛川誌稿」が新野村(現浜岡町新野)に比定し、「大日本地名辞書」も千浜(ちはま)村・新野村付近、すなわち現浜岡(はまおか)町新野から現大東(だいとう)町千浜とする。 新野郷にいのごう 岡山県:美作国勝田郡新野郷「和名抄」高山寺本に「迩比乃」の訓がある。奈岐(なぎ)連峰の一つ山形(やまがた)山南麓の平原を中心とする地域と考えられる。現勝田郡勝北(しようぼく)町新野東(にいのひがし)付近。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by