旅客自動車運送事業(読み)りょかくじどうしゃうんそうじぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

旅客自動車運送事業
りょかくじどうしゃうんそうじぎょう

他人の需要に応じて自動車を使用して有償で旅客を運送する事業であり、道路運送法の適用を受ける事業である。旅客自動車運送事業一般旅客自動車運送事業特定旅客自動車運送事業に分類され、前者はさらに以下の三つに分類される。
(1)一般乗合旅客自動車運送事業(乗合旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
(2)一般貸切旅客自動車運送事業(一個の契約により国土交通省令で定める乗車定員以上の自動車を貸し切って旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
(3)一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約により(2)の国土交通省令で定める乗車定員未満の自動車を貸し切って旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
 いわゆる乗合バスは(1)に該当し、貸切バスは(2)に該当する。またタクシーは(3)に該当する。スクールバスは特定旅客自動車運送事業に該当する。少子高齢化や過疎化の進展に伴って、福祉有償運送(自家用自動車を利用する有償サービス)や乗合タクシーなど、旅客自動車運送事業には多様なサービスが提供されてきており、その分類は複雑になってきている。
 道路運送法において、2000年(平成12)に需給調整規制が撤廃されることにより、旅客自動車運送事業は規制緩和された。たとえば一般乗合旅客自動車運送事業では、従来の免許制が許可制に変わり、運賃は上限運賃制に移行した。このようにして、現在は事業者の自由度が高まっている。とくに一般貸切旅客自動車運送事業では、規制緩和によっていわゆる高速ツアーバスが台頭し、安価で快適なサービスが提供され始めたが、安全性の問題などから、従来の高速乗合バスとの統合が図られている。
 乗合バス事業のうち、路線バスは少子高齢化や自家用車の普及で経営が苦しい反面、高速バスでは高速道路の伸展に伴って新たなビジネスチャンスが広がっている。タクシー事業は労働集約的な産業であることから人件費の影響が大きく、乗務員の安定的な確保や雇用条件の改善のためには一定の収入を必要とするので、タクシー運賃の値上げとそれに伴う客離れの問題を抱えている。[竹内健蔵]
『衛藤卓也監修、大井尚司・後藤孝夫著『交通政策入門』(2011・同文舘出版)』

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デジタル大辞泉の解説

りょかくじどうしゃ‐うんそうじぎょう〔‐ウンソウジゲフ〕【旅客自動車運送事業】

自動車を使用して、有償で旅客を運送する事業。道路運送法で規定され、国土交通大臣の許可が必要。不特定多数の人を対象とする一般旅客自動車運送事業と、特定の人を特定の場所に運ぶ特定旅客自動車運送事業がある。

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