日本パラスポーツ協会(読み)にほんぱらすぽーつきょうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本パラスポーツ協会」の意味・わかりやすい解説

日本パラスポーツ協会
にほんぱらすぽーつきょうかい

障害者スポーツの普及、強化の推進、および障害者の福祉増進に寄与することを目的とした組織。日本の障害者スポーツ関連組織を統括している公益財団法人で、英語名称はJapanese Para-Sports Association(JPSA)。本部所在地は東京都中央区日本橋蛎殻町(かきがらちょう)。

 協会事業として、全国障害者スポーツ大会やジャパンパラ競技大会など各種大会の開催のほか、「障がい者スポーツ指導員」や「障がい者スポーツトレーナー」などの指導者の育成、障害者スポーツ団体や関連団体との連絡調整、障害者スポーツの普及・啓発や選手強化、国際障害者スポーツ大会への選手や役員派遣、障害者スポーツに関する調査研究や広報を行っている。このうち、パラリンピックなど国際障害者スポーツ大会への選手・役員の派遣は協会内に設置されている日本パラリンピック委員会(JPC:Japanese Paralympic Committee)が担っている。

 1964年(昭和39)に開催されたパラリンピック東京大会の組織委員会(当時の名称は国際身体障害者スポーツ大会運営委員会)の財産を引き継ぎ、1965年に厚生省(現、厚生労働省)の認可を受けて財団法人日本身体障害者スポーツ協会Japan Sports Association for Disabled(JSAD)が設立された。1999年(平成11)には寄付行為を改正し、身体障害、知的障害、精神障害の3障害すべてのスポーツ振興を統括する財団法人日本障害者スポーツ協会となる。これと同時に協会内にJPCを設置した。翌2000年(平成12)には財団法人日本体育協会(現、日本スポーツ協会)に加盟している。2014年には公益財団法人となり名称を日本障がい者スポーツ協会に変更した。さらに2021年(令和3)10月1日には、リハビリや福祉のイメージが強かった「障害者スポーツ」という従来呼称を「パラスポーツ」に統一し、協会名を日本パラスポーツ協会に変更すると同時に「ムーブメント推進課」を新設した。

 日本パラスポーツ協会は、都道府県および政令指定都市の障害者スポーツ協会、日本車いすバスケットボール連盟や日本パラ陸上競技連盟などの障害者スポーツ関連競技団体、地域の「障がい者スポーツ指導者」のための組織(障がい者スポーツ指導者協議会)などを統括している。

 2013年には2030年までを視野に入れた「日本の障がい者スポーツの将来像(ビジョン)」をつくり、2021年には「2030年ビジョン」を発表した。そのなかでは、「多様性を尊重し、一人ひとりの個性を活かす」こと、「スポーツの価値を全ての人が共有する」こと、「スポーツを通じて障がい者の社会参加を広げる」ことの三つの理念をあげている。そして実現したい将来像として「活力ある共生社会の実現」を示し、具体的なミッションや目標数値を明確にしている。

[藤田紀昭 2021年10月20日]

『日本身体障害者スポーツ協会編『創立20年史』(1985・財団法人日本身体障害者スポーツ協会)』『中村太郎著『パラリンピックへの招待――挑戦するアスリートたち』(2002・岩波書店)』『日本障がい者スポーツ協会編『障がいのある人のスポーツ指導教本 初級・中級』(2020・ぎょうせい)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例