恒星風ともいう。星の表面から外の空間に向かって物質が蒸発ないし流出する現象,またはその物質をいう。あらゆる星は多少なりとも星風を放出しているが,ふつうはその量はわずかで,星の質量がそのためにはなはだしく減少するほどではない。とくにこれが問題になるのは赤色巨星と呼ばれる星からの星風で,スペクトル線に輝線を伴う複雑な構造があり,星の周囲に星風が蓄積してできたと思われる雲が存在することから,毎年太陽の質量の10⁻7~10⁻6倍にものぼる多量の星風が流出していることがわかる。長周期変光星も,膨張する位相のたびにこの程度の質量を放出しているものがある。星はその進化の過程の終末期に赤色巨星の状態を経過し,最後には白色矮星(わいせい)または中性子星になると考えられているが,これら高密度の星には質量の上限(太陽の質量と同じ程度か,せいぜい2倍程度と考えられる)があり,それよりも大質量で生まれた星は,巨星状態の段階で何らかの過程によって質量を減量しなければ最終段階の白色矮星または中性子星にいきつくことができない。質量を減らす穏やかな過程としては星風があり,激しい過程としては超新星爆発があり,実際にはその両方が働いているのであろう。星風の意味を拡張して,近接連星系(新星,X線星などを含む)において,二つの星の中間の力学的に不安定な点を通って一方から他方へ物質が流入する現象も星風と呼ぶこともある。
→太陽風
執筆者:大沢 清輝
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