翻訳|red giant
巨星のうちで、表面が5000K(ケルビン)から3000K程度の低温度で、赤色に見える星(恒星)。化学組成に差異があり、スペクトル型も分かれている。酸素が多いK型とM型では一酸化チタン分子TiOの吸収がみられ、炭素の多いC型では炭素分子やシアン分子の吸収が現れる。重金属の多いS型も存在する。絶対等級は、同じスペクトル型の矮星(わいせい)(主系列星)より数等級から十数等級も明るい。直径は太陽の10倍から数百倍に達するものもあり、HR図の右側上部に位置している。
大多数の主系列星は、進化すると赤色巨星になる。水素の燃えかすであるヘリウムが中心付近にたまり、それを包む球殻上で水素が燃えるようになり、外層が大きく膨張し、HR図上を右側上方に向かって進化していく。そして、その最外層からは物質が徐々に外へ流れ出し大きく広がり、惑星状星雲を形成する。なお、太陽の8倍以上の質量の恒星は、赤色巨星(さらに進化した超巨星)段階の最後に超新星爆発を起こすと考えられる。赤色巨星には、うしかい座のアークトゥルス、おうし座のアルデバランなど、見かけ上も明るいものが多い。
[前原英夫]
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低温の巨星をいい,スペクトル型ではG,K,M型および炭素星などを含む。これらの星の膨大な外層部は大部分対流層となっていて,星の中心部で起こった核反応の生成物を星の表面にまでかくはんする。事実,赤色巨星には化学組成に異常を示すものが多く,炭素星,S型星などはそのもっとも著しい例である。G,K,M型星や球状星団の赤色巨星についても詳細なスペクトル解析が行われた結果,とくに炭素,窒素などは複雑な異常を示しCNO3重サイクルの反応生成物が表面にまで混合していることを示しているが,今日の恒星進化理論ではなお,よく理解できない点も多い。赤色巨星は,また定常的な質量放出を行い,これら核反応生成物を星間空間に還元しつつある。赤色巨星の有効温度や光度などの物理的特性は,その質量,年齢,化学組成などによって特徴的な値を示すが,赤色巨星は比較的年齢の古い星団,銀河などの主要な構成要素であり,かつ比較的容易に観測されるので,種々の恒星系の進化段階を示す指標としても重要である。
執筆者:辻 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)
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…主系列星は太陽と同じく中心部で水素をヘリウムに転換する熱核反応によってエネルギーを供給している恒星である。原子核エネルギーの燃料ともいうべき水素が十分にある間は主系列星として半径や明るさを変えないが,中心部で水素が消費され,その燃えかすであるヘリウムなどが増えると半径が大きくなり赤色巨星,超巨星へと進化する。最終的には,高密度の残骸ともいうべき白色矮星(わいせい),中性子星,ブラックホールのいずれかを残すか,または何も残さず全質量を星間ガスに還元するかであると考えられている。…
※「赤色巨星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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