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映画盗撮防止法 えいがとうさつぼうしほう

知恵蔵の解説

映画盗撮防止法

映画の海賊版DVDやネット上での不正流通防止を目的に、映画館で上映中の映画を無断で録画・録音する行為を禁止する「映画の盗撮の防止に関する法律」。 盗撮によって作成された海賊版ソフトの違法流通で、日本の映画産業は、2005年度だけでも年間興行収入の約9%に相当する約180億円の被害を被った。 業界では、様々な盗撮防止キャンペーンを行ってきたが、ここに一つの抜け穴があった。著作権法30条1項で、私的使用目的に限って例外的に映画などの複製が認められていたからだ。映画館で盗撮現場を発見した場合、真の盗撮目的が海賊版DVDの作成だったとしても、盗撮者が私的使用と主張すれば、法律的に対抗できなかった。新法では、たとえ私的使用目的であっても、映画館内での盗撮行為自体を違法と規定している。 内容は、国内の映画館で初の有料上映から8カ月以内の期間に映画の盗撮・録音を行った場合、懲役10年以下か罰金1000万円以下を科すというもの。2007年5月30日に公布され、8月30日から施行された。

(宮本治雄 映画ライター / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

デジタル大辞泉の解説

えいがとうさつ‐ぼうしほう〔エイグワタウサツバウシハフ〕【映画盗撮防止法】

《「映画の盗撮の防止に関する法律」の通称》映画館で上映中(国内最初の有料上映から8か月間)の映画をビデオカメラなどで撮影することを禁止する法律。違反者は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金。併科もある。平成19年(2007)8月施行。
[補説]盗撮ビデオから複製した海賊版が横行したことからの処置

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

映画盗撮防止法
えいがとうさつぼうしほう

正式名称は「映画の盗撮の防止に関する法律」であり、映画館における映画の盗撮行為を禁止するために、2007年(平成19)5月に制定された法律(平成19年法律第65号)。同年8月施行。
 今日のデジタル技術の進歩によって高性能化したビデオカメラを使用して、映画館で映画の盗撮を行い、これによって作成された映画の海賊版がインターネット上で流通したり、露天販売されたりする事案が生じた。そこで、海賊版流通の大きな原因となっている映画館での映画の盗撮を防止することが必要とされ、本法が制定された。
 著作権者の許諾を得ないで、著作権のある映画の録画・録音を行うことは、とくに著作権法で定められた例外の場合を除いて著作権侵害となる。しかし、著作権法には、私的使用を目的とした著作物の複製には著作権が及ばないとする例外規定(著作権法30条1項)があるため、映画館で映画の盗撮が行われた場合であっても行為者が私的使用目的の複製であることを主張したときは、著作権法ではこれをただちに著作権侵害と認めることが難しく、効果的な対応ができないことがあった。これに対し、本法は、映画の盗撮について、私的使用の目的でされるものであってもこれを違法とすることで、海賊版の流通防止を効果的に行おうとしている。
 本法では、映画館等において観衆から料金を受けて上映が行われる映画について、著作権者の許諾を得ずにその映像の録画または音声の録音を行うことを「映画の盗撮」と扱い、「映画の盗撮」が私的使用の目的による場合であっても、本法第4条第1項によって、私的使用を目的とした著作物の複製には著作権が及ばないとする規定(著作権法30条1項)を適用しないこととした。これにより、映画の盗撮(音声の録音を含む)は原則として著作権(複製権)の侵害となり、著作権法に基づいて、損害賠償請求、差止請求のほか、刑事罰の対象となり得る。[田中 謙]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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