春日神木(読み)かすがのしんぼく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春日神木」の意味・わかりやすい解説

春日神木
かすがのしんぼく

奈良の春日大社藤原氏氏神として奈良時代以来朝野の崇敬を集めたが,その神霊サカキ (榊) に移したものが神木で,古来の神籬 (ひもろぎ) であり,絵画によれば鏡をつけたものが多く,さらに春日大社の神使である鹿の背に立てられていた。平安時代中期以降藤原氏の摂関政治が朝廷の政治を左右するようになると,春日神社実権を握っていた藤原氏の氏寺興福寺大衆 (だいしゅ) は不満があるとこの神木を奉じて都に上り強訴するにいたった。要求が入れられない場合はその当事者を藤原氏から放氏 (ほうし。氏上が氏人に加えた制裁のことで,一族からの除外,氏人としての特権を取上げた) するので,藤原氏の公卿たちはこれを非常に恐れたため,その目的を達しないことはなかったという。

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旺文社日本史事典 三訂版 「春日神木」の解説

春日神木
かすがのしんぼく

春日神社の神霊をうつした鏡をかけた榊 (さかき)
神威の象徴。興福寺が春日神社の実権をもってから,僧兵はこの社の神人 (じにん) とともにこの榊を奉じて朝廷に強訴 (ごうそ) した(神木動座)。この神木が動くと氏子である藤原氏は謹慎籠居するので,強訴のほとんどは目的を達成した。

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