暮しの手帖(読み)くらしのてちょう

知恵蔵 「暮しの手帖」の解説

暮しの手帖

1948年に誕生した女性向けの総合生活雑誌発行は「暮しの手帖社」。同社の創業者である大橋鎭子が、初代編集長で創業者でもある花森安治と共に創刊した。毎日の生活を少しでも豊かで美しくするために、手作り家具や直線裁ちの服などを提案していこうという狙いから、商品テストを行ったり、企業との共同開発商品を手掛けたりするなど、生活者の立場に立った編集方針を続けている。70年代には、100万部近くを発行した。
「暮しの手帖社」の前身である「衣装研究所」は46年に東京銀座で創業した。服飾の提案雑誌「スタイルブック」に始まり、48年には、“食”と“住”をとり入れて衣・食・住そろった「美しい暮しの手帖」を創刊。53年12月の第22号から誌名を「暮しの手帖」に変更した。56年には「婦人家庭雑誌に新しき形式を生み出した努力」という評価により、第4回菊池寛賞を受賞している。68年2月の第93号からは隔月刊に変更した。
雑誌の中では、商品テストの結果や、浴衣ワンピーステーブルクロスなどに仕立て直すアイデア、ホットケーキをおいしく焼くコツ、医療、健康についての情報などが掲載されている。また、雑誌の全てのページを自分達の手で作成するという意図や、商品の公平性を期すために、広告外部からのものは一切受けず、自社書籍についてのみを扱う。
発行号数は100号ごとに「第・世紀」と区分される。これは花森の「100号ごとに初心に立ち返る」という思いが込められている。2007年2月発売の426号からは、松浦弥太郎を編集長に迎えた。15年8月より編集長は澤田康彦となり、480号以降を担当している。
16年4月4にスタートしたNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」は、3姉妹が父の死を乗り越えて成長し、戦後は生活雑誌を創刊、編集者として活躍するドラマで、ヒロイン小橋常子のモデル大橋である。

(若林朋子 ライター/2016年)

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改訂新版 世界大百科事典 「暮しの手帖」の意味・わかりやすい解説

暮しの手帖 (くらしのてちょう)

花森安治(1911-78)が設立した衣裳研究所,のち暮しの手帖社から刊行されている隔月刊の婦人家庭雑誌。1948年9月《美しい暮しの手帖》という誌名で創刊。54年3月から《暮しの手帖》と改称されたが,〈暮しの変革理念よりも日常生活の実践を通して〉行おうとする編集方針は当初より一貫している。多くの雑誌が商品広告であふれている今日,スポンサーの意向によって内容が左右されるのを防ぐため,同誌には他社の広告がいっさい入っていない。したがって,56年以来同誌が実施している〈商品テスト〉の結果は信頼性が高く,誌上に発表のつど話題とされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「暮しの手帖」の意味・わかりやすい解説

暮しの手帖
くらしのてちょう

1948年(昭和23)花森安治(やすじ)、大橋鎮子(しずこ)によって創刊された生活雑誌。当初は季刊、現在は隔月刊。暮しの手帖社(株)発行。花森がもっぱら編集面を担当したが、広告をいっさい廃し、26号(1954)から「商品テスト」を連載した。その目的は、賢い消費者を育てるという消費者運動と異なり、より直接的によい商品だけをつくってもらうことを生産者に訴えることにあった。商品テストは社会批評であり、文明批評であると花森は書いている(『一五厘の旗』1971)。78年1月花森の死後もこの伝統は守られている。

[京谷秀夫]

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百科事典マイペディア 「暮しの手帖」の意味・わかりやすい解説

暮しの手帖【くらしのてちょう】

1948年衣裳研究所(1946年創立)の花森安治,大橋鎮子らが《美しい暮しの手帖》の誌名で創刊した雑誌。1954年現名に改称。初め季刊だったが現在隔月刊。衣食住の合理化をめざし,自ら市販商品の使用テスト・分析を行い,その結果を掲載するなど特異な編集方針をもつ。他社の広告は一切掲載しない。

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デジタル大辞泉プラス 「暮しの手帖」の解説

暮しの手帖

株式会社暮しの手帖社が発行する生活実用情報誌。1948年、「美しい暮しの手帖」として創刊(当初は季刊)。1953年刊行の22号より現誌名となる。衣・食・住がテーマ。広告を掲載せず、実名をあげて商品を評価する“商品テスト”のコーナーなどで、女性を中心とする読者の支持を得た。隔月刊。

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