日本大百科全書(ニッポニカ) 「最高価格令」の意味・わかりやすい解説
最高価格令
さいこうかかくれい
Maximum général フランス語
フランス革命中の1793年9月、物価高騰の抑制、生活必需品確保のため、山岳派(モンタニャール)が採用した経済統制令で、商品価格や賃金の最高限を設定したもの。革命の動乱、対外戦争の遂行の招いた物資の欠乏、物価の騰貴に対処して、革命の防衛、戦争の勝利のための民衆の支持を確保しようとしたものであったが、隠匿、売り惜しみで効果が少ないばかりか逆効果とさえなり、同年末、対外戦の好転で穀物、パン以外は適用を緩和した。しかし最高賃金のみは厳しく適用され民衆の反感と失望を招き、94年7月に起こった「テルミドールの反動」の一因は物価と賃金との矛盾にあるとされた。反動後の同年12月になって無条件で廃止された。
[樋口謹一]