改訂新版 世界大百科事典 「朝鮮大学校」の意味・わかりやすい解説
朝鮮大学校 (ちょうせんだいがっこう)
在日朝鮮人がその子弟のために設立した高等教育機関。東京都小平市にある。在日外国人がたてた日本のなかの唯一の〈大学〉である。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は小学校から高校までの民族学校を整えてきたので,それら卒業生に高等教育を与え,あわせて民族学校教師を養成する目的をもって,1956年,2年制の短大を創設,58年には4年制とした。文学,歴史地理,政治経済,経営,外国語,理,工の7学部と2年制および3年制の師範教育学部ならびに研究院(2年制)を擁する総合大学である。学生数1500名。しかし,文部省はこれを大学と認めず,ために各種学校としての法的地位にとどまっている。このため,朝大卒業生に対して国立大学の大学院は受験を閉ざしている。他方,公・私立大学の大学院は大学と認め,受験を開放している(96年現在,15大学,38研究科。99年には国立大学大学院への受験資格が事実上認められる)。海外の諸大学も大学として遇し,77年以降,ロンドン大学はじめ英・米・仏の大学院に20数名留学した。なお卒業生は,民族団体や企業のみならず,日本の大学や研究機関に勤めるなど多岐にわたる。なお2008年現在,文学歴史,政治経済,経営,理工,教育,体育,短期の7学部からなり,師範教育学部が改称した教育学部は4年制と3年制,研究院は前期2年と後期3年に改編されている。
執筆者:小沢 有作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報