本朝桜陰比事(読み)ほんちょうおういんひじ

精選版 日本国語大辞典 「本朝桜陰比事」の意味・読み・例文・類語

ほんちょうおういんひじ ホンテウアウインヒジ【本朝桜陰比事】

浮世草子五巻。四四章。井原西鶴作。元祿二年(一六八九)刊。書名中国宋代の「棠陰(とういん)比事」に対し、棠を桜にかえ本朝を冠したもので、内容も同じく裁判に関する話を集録。「板倉政要」などを原拠とした話もあるが、裁判を通して人情機微をうがち、当時の世相を浮かび上がらせている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「本朝桜陰比事」の意味・読み・例文・類語

ほんちょうおういんひじ〔ホンテウアウインヒジ〕【本朝桜陰比事】

浮世草子。5巻。井原西鶴作。元禄2年(1689)刊。中国の「棠陰とういん比事」に倣い、裁判を題材にした44話を収録

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「本朝桜陰比事」の意味・わかりやすい解説

本朝桜陰比事 (ほんちょうおういんひじ)

浮世草子。井原西鶴著。1689年(元禄2)刊。5巻5冊。短編小説集で44の裁判説話を載せる。各章〈昔,京の町〉云々という書出しで始まり,洛中洛外に起こった事件を奉行が解決し,判決を下す説話で,推理小説でもある。奉行名は明示していないが,京都所司代板倉勝重・重宗の父子が想定できる。また,2人の裁判話として世に伝えられているものを含む。宋の桂万栄著《棠陰(とういん)比事》を模した書名で,同書や,板倉父子の裁判例を載せた《板倉政要》を素材に用いている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の本朝桜陰比事の言及

【棠陰比事】より

…同じ題名で,寛永年間(1624‐44)に5巻本で刊行,最初の裁判小説として好評を博し,多大の影響を与えた。井原西鶴の《本朝桜陰比事》をはじめ,月尋堂の《鎌倉比事》,作者不明の《日本桃陰比事》と続き,曲亭馬琴の《青砥藤綱模稜案》,講談本の《大岡政談》を生むきっかけとなった。日本の探偵小説の祖ともいうべきものである。…

※「本朝桜陰比事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android