ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李方子」の意味・わかりやすい解説
李方子
イバンジャ
[没]1989.4.30. 大韓民国,ソウル
朝鮮李王朝最後の皇太子妃。梨本宮守正王の長女として生れる。学習院中等部在学中に日本に留学していた朝鮮王朝の李垠 (イウン) 皇太子と婚約,1920年に結婚するが,実は日本が朝鮮支配のために画策した政略結婚だった。長男をもうけるが,7ヵ月で突然死亡,毒殺説がささやかれた。第2次世界大戦終了と同時に王族の身分を失う。日本に滞在していた夫妻は韓国への帰国を希望するが,韓国政府が拒否したため無国籍となり,李王朝時代の財産はすべて没収された。朴政権時代になってようやく韓国籍を得,63年病身の夫とともに帰国した。日本の朝鮮支配の犠牲になった悲劇の王妃といわれたが,夫の死後も韓国に残り,障害者施設を設立するなど社会福祉に貢献した。
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