日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
とうきょうおりんぴっくぱらりんぴっくきょうぎたいかいそしきいいんかい
The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games
2021年(令和3)に開催された東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備・運営にあたった組織。略称は大会組織委員会。2013年(平成25)9月に東京開催が決定したことを受け、日本オリンピック委員会(JOC)と東京都を母体に、前身の東京オリンピック・パラリンピック招致委員会を引き継いで2014年1月に一般財団法人として発足し、2015年1月に公益財団法人となった。2022年6月に解散する。国際オリンピック委員会(IOC)の負担金や企業協賛金を原資とする運営費を投じ、競技大会の準備、企画、広報、運営、監督、競技映像の製作、セキュリティー維持のほか、都心での街づくり推進、日本文化や新テクノロジーの海外発信、国際交流などにあたった。選手村から半径8キロメートル以内で全体の85%の競技を実施する当初のコンパクト開催計画を修正し、バスケットボール、レスリング競技などの周辺県での開催を決めた。2015年には、オリンピック28競技に加え、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技追加を提案し、翌2016年認められた。本部は東京・中央区の晴海(はるみ)アイランドトリトンスクエアオフィスタワー。ピーク時の事務局員数は約7000人。マーケティング専任代理店は電通。
発足時に、会長職を元首相の森喜朗(もりよしろう)、事務総長を元財務次官の武藤敏郎(むとうとしろう)(1943― )が務め、理事、評議員、参与などには作詞家の秋元康(あきもとやすし)(1956― )、五輪メダリストで、初代スポーツ庁長官の鈴木大地(すずきだいち)(1967― )ら著名人が名を連ねていた。しかし、女性蔑視(べっし)や差別など大会理念に反する言動などで、会長の森が辞任して参議院議員の橋本聖子(1964― )に交代したほか、開会式演出家や楽曲担当者らが相次いで辞任。選定した五輪エンブレムが海外に類似デザインがあるとの批判を受け、市松模様を基調とするエンブレムに変更するなど不祥事が相次いだ。
[矢野 武 2022年1月21日]