石畳,霰(あられ)などともいわれ,幾何学模様のもっとも簡単なものとして洋の東西を問わず古くから種々のものの意匠模様に用いられている。ことに染織品の模様としては,これの土台になる裂地(きれじ)の構造が,直交する経緯(たてよこ)の糸で組織されたものであるから縞とともにきわめて織物に自然な模様として,その発生はおそらく原始時代にさかのぼるものであろう。日本でも古く古墳時代の埴輪(はにわ)の服装にこの模様がみられ,7~8世紀ころの法隆寺や正倉院の染織品にも織模様として多く用いられている。中世の装束の表袴(うえのはかま)の〈窠に霰(かにあられ)〉もこれであり,下って近世になると帯や着物の模様として織にも染にもさかんに用いられた。市松という名称は,1741年(寛保1)佐野川市松という俳優が江戸中村座の芝居で《高野心中》の小姓粂之助の役にこの石畳模様の袴を用いて人気を博し,大いに流行したことから起こったといわれる。
執筆者:山辺 知行
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…12歳の初舞台のときからその愛らしさが人気となり,41歳で没するまで,美貌の若衆方,女方役者として活躍した。代表的な舞台は,1741年(寛保1)江戸中村座で演じた《高野心中》の粂之介で,その衣装に用いた石畳(いしだたみ)の模様は〈市松模様〉として今日に残る。〈市松(いちま)人形〉の名も顔を似せて作ったことに由来する。…
…市松模様,格子縞,そのほか線が直角に交差した格子柄模様の総称。一般に先染めした経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で織り出して作るが,プリントで表したものもある。…
※「市松模様」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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