東大寺献物帳(読み)とうだいじけんもつちょう

改訂新版 世界大百科事典 「東大寺献物帳」の意味・わかりやすい解説

東大寺献物帳 (とうだいじけんもつちょう)

聖武太上天皇の没(756)後,天皇の遺品を中心として多くの品が5回にわたって東大寺の本尊盧舎那仏大仏)に献納されたときの献納目録。5巻全部が正倉院伝存する。その5巻をそれぞれ区別するため,(1)国家珍宝帳,(2)種々薬帳,(3)屛風花氈帳,(4)大小王真跡帳,(5)藤原公真跡屛風帳という通称で呼ばれている。(2)(3)(4)(5)はそれぞれの献納品の内容によった通称であるが,(1)は願文の中に見える〈国家珍宝〉の語に基づいている。各献物帳の文字の書かれている部分の全面に〈天皇御璽〉の内印が押されている。正倉院成立の事情を明らかにする基本的文献である。
献物帳 →正倉院
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百科事典マイペディア 「東大寺献物帳」の意味・わかりやすい解説

東大寺献物帳【とうだいじけんもつちょう】

奈良東大寺に献納された聖武(しょうむ)天皇(756年没)の遺品を中心とした目録。〈国家珍宝帳(ちんぽうちょう)〉〈種々薬帳(しゅじゅやくちょう)〉〈屏風花氈等帳(びょうぶかせんとうちょう)〉〈大小王真跡帳(だいしょうおうしんせきちょう)〉〈藤原公(ふじわらこう)真跡屏風帳〉の全5巻が正倉(しょうそう)院に伝存する。正倉院の成立事情を知ることのできる基本文献。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東大寺献物帳」の意味・わかりやすい解説

東大寺献物帳
とうだいじけんもつちょう

聖武天皇の遺愛品を,光明皇后が東大寺の盧舎那仏に奉献されたとき,その品目を記して納めた目録の総称。天平勝宝8 (756) 年6月 21日の『国家珍宝帳』および同時の『種々薬帳』,同年7月 26日の『屏風花氈帳』,天平宝字2 (758) 年6月1日の『大小王真跡帳』,同年7月 21日の『藤原公真跡屏風帳』の5種がある。いずれも白麻紙の巻子に高雅表装を施し,その書も王羲之書風にならったとみられる名跡。正倉院蔵。

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世界大百科事典(旧版)内の東大寺献物帳の言及

【正倉院】より

…これが正倉院成立の端緒となった最初の献納である。同日,別に香薬類60種を21個の櫃(ひつ)に納めて献納し,ついで同年7月26日欧陽詢の真跡屛風や花氈(かせん)(文様のある毛氈(もうせん))その他,758年(天平宝字2)6月1日王羲之・王献之父子の真跡,同年10月1日皇太后の亡父藤原不比等の真跡屛風を献納した(《東大寺献物帳》)。これら献納の宝物は献納後まもなく東大寺正倉院内の一倉,すなわち現存の校倉(あぜくら)の北倉(この校倉は南北に長く東面して建てられ,正面に向かって右から北倉,中倉,南倉の3倉に仕切られている)に納められた。…

※「東大寺献物帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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